2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

こ生さんの「白雲木」 溥傑・浩と稲毛 (二)

 愛新覚羅溥傑・浩仮寓の裏手に「白雲木」があり、奥井貞男氏は、この木の花を見てもらいたかったのですよ、と興奮ぎみに言った。

 ハクウンボクはエゴノキ科の落葉高木。葉は大きな卵形というが、私の目には、丸みをおびたハート形に見えた。

 植物図鑑に出ていたように、白色五弁花を総状につけ、初夏の日差しを浴びて光っていた。

 芳香があるそうだが、鼻がわるい私には無縁で、ただ清々しい印象だけは受けた。

 立て札があり、「福永こ生寄贈=(浩・結婚の折に、貞明皇后より拝領した木の孫です。)」という解説が記されていた。

 昭和十二年十月、浩は新婚の稲毛宅を離れ、皇帝溥儀・皇后婉容の待つ「満州国」へ旅立つことになった。

 結婚披露宴のためだったが、その報告など兼ねて、浩は貞明皇太后のもとに伺候し、多くの祝い品を下賜され、その中に「白雲木」の種も含まれていた。

 貞明皇太后は、大正天皇の皇后であり、天皇家とは有縁の嵯峨家の姫・浩のよき理解者でもあった。

 「満州の土に植え、(日中友好の)花を咲かせるように」

 とのお言葉が添えられた「白雲木」の種子だが、寒冷の満州では芽吹かない心配があり、まず嵯峨家で保育され、歳月を重ねてこ生さんが引き受けることになる。

 つまりこ生さんから贈られた稲毛の「白雲木」は、それだけの「由縁」を内蔵しているわけで、貴重なものだ。...


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