みすゞ発うらゝへ

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 十月に入るとそわそわする。金木犀(きんもくせい)の香りが鼻孔をくすぐると、母親と連れ立って茸採りだった。

 いまは母親もいない、茸山も変形している。それでもなお、別途の楽しみと心配をないまぜにしてそわそわする。

 例年、十二月にクリスマスコンサート、年が明けて一月に新年会コンサートをやり、今年も十二月七日と新年一月二十五日に予定されている。

 楽しみと不安の中でその準備にかかるのが十月だが、ジャズピアノの巨人・大原保人さんが付き添ってくれるし、千葉ジャズ協会主催という名目で、代表の大原美保子さんも手を引っ張ってくれる。

 準備の期間中、あまり根を詰めないようにと、美保子代表が一冊の本を貸してくれた。(これからが本題)

 タイトル『みすゞからうらゝへ』という詩集だった。

 筆者は、千葉中央法律事務所の弁護士さんで、本名・守川幸男先生ということだった。

 序文「ごあいさつ――金子みすゞに魅せられてより抄録させてもらう。「自由法曹団総会のあと、かねてからの希望がかなって、山口県の仙崎にある金子みすゞ記念館を訪れました。これまで詩を作ったこともないのに、その直後から急に作りたくなって、湧き出るように一気に作りました。

 自然や生きものとそのふしぎ、弱いものやひっそりと役割を果たしているものたち、これらに対する共感とやさしいまなざしのみすゞから出発しつつ、環境や人間関係に関するアピール性を含んだり、世相を批判するものも多くなりました。しかし、これも私の個性かと思っています。

 なお、『うらゝ』の名前は、私が墨田区出身なので、『春のうらゝの墨田川』にちなんでつけました。」

 目次は八項目から成っているが、四項目から一作ずつ紹介してみる。

 生きてるなかまたち
    クモの巣
  庭にクモの巣きれいだな
  お日さま照らして銀色に
  夜露を抱いて光ってる
  雨にぬれたら重そうね

 星とお月さま
    星と涙
  きらきら星はどうしてできた
  悲しい涙が凍ったの
  悲しいことがたくさんあって
  たくさんたくさん凍ったの

 ふしぎだな
    色はふしぎ
  なんでこの葉はみどりなの
  なんで葉っぱがきいろいの
  なんでまっかな葉もあるの
  ピンクのお花はさくらだね

 世相を詠む
    ワーキングプア
  毎日必死に働いて
  休まず毎日働いて
  それでも生活苦しいの
  病気をしたらどうしよう
  子どもに何にも買えなくて
  学校出させてあげたいに...