千葉を支える 住宅開発 県発展へ良質な住宅供給 UR都市機構

アルビス前原外観

◆持続可能な社会実現へ貢献 県内110団地9万戸管理

 独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)は、戦後の高度経済成長期から増加する住宅需要に応え、千葉県発展の大きな力となってきた。現在、県内で110団地約9万戸を管理。築年数の経過した建物は建て替えやリノベーションを行い、現代の生活に合わせている。持続可能な社会の実現に貢献するために培ったノウハウを最大限に発揮し、人口減少や少子高齢化など時代の変化に対応して良質なサービスを提供していく。

◆稲毛団地が分譲住宅第1号

 UR都市機構は、1955(昭和30)年に戦後の住宅不足を解消するために設立された日本住宅公団が母体となっている。
 分譲住宅第1号は千葉市稲毛区の稲毛団地だ。鉄筋コンクリート造4階建ての10棟に計240戸あったといい、1956年に入居が始まった。
 同区では65年に千草台団地が完成。基本となる部材を工場で製造し、現場に持ち込み組み立てるプレキャスト工法で建設した。1DK、2DK、3Kとさまざまな間取りがあり、一人暮らしからファミリー層まで幅広く対応。2000戸超の大規模な団地となった。
 臨海部の同市美浜区に千葉幸町団地ができた70年には公団住宅が全国で50万戸を突破した。同団地は広大な敷地を誇り、緑道や公園を複数配置。閑静な住宅街のような雰囲気になっている。
 78年に誕生した船橋市の芝山団地は、国内で初めて中水道施設で下水を浄化してトイレやビオトープに給水。都心に好アクセスで、現在、生活用品ブランド「無印良品」と連携してリノベーションした部屋もある。

1995年に延伸した千葉ニュータウン公団鉄道の印西牧の原駅(印西市)

 白井、船橋、印西3市にまたがる「千葉ニュータウン」で84年、交通利便性の向上を目的に、千葉ニュータウン公団鉄道が小室~千葉ニュータウン中央駅間を開通させた。今は北総鉄道に引き継がれている。
 21世紀対応の居住空間、海を感じる景観デザインなど新しい試みを盛り込んだ3つの街区からなる浦安市の「浦安マリナイースト21フォーラム海風の街」の入居が88年に開始。89年にはオンラインによる空き家賃貸住宅入居申込受付がスタートした。

昭和時代に完成した豊四季台(柏市)

 96年には、「千葉ニュータウンアバンドーネ原5番街」(分譲住宅)で、間仕切り建具で居室スペースを自由に変えられる初の「ユーメイク住宅」の入居が始まった。
 街全体のバリアフリーをコンセプトにした千葉ニュータウン「いには野」(宅地分譲)のまちびらきを2000年に行うなど県内に良質な住宅を供給。東日本大震災(2011年)を契機に高まった安全安心な住宅ニーズに応えるため、必要な耐震補強工事も実施している。

◆快適な住宅設備けん引 環境に優しい技術も導入

 UR都市機構の住宅は時代とともに新たな設備を導入してきた。
 戦後の住宅難の時代、食卓と寝室を分離した合理的な暮らしを普及させるためにステンレス製台所の量産化に取り組み、成功。「食事室兼台所」を「ダイニングキッチン」とネーミングし、好印象を浸透させた。洋式トイレの採用も始め、使い勝手の良さのほか施工上の簡略化もあり、民間でも取り入れられるようになった。
 1960年代には床置きタイプの洗面ユニットを開発。安全な浴室へ、瞬間湯沸かし器用に開発された装置を応用したBF風呂釜も作った。いずれも一般住宅に普及する契機にもなった。
 70年代になると専用庭のある都市型の低層集合住宅「タウンハウス」を提供し、当時の公団住宅のイメージを一新した。一方で超高層住宅の建設も始めた。
 敷地内にも新たな技術が導入され、82年には雨を地表近くの土中に分散・浸透させて流出を防ぐ「雨水浸透工法」を国内で初めて採用。その後は、人と生き物が共存する都市環境の形成を目指したビオトープの整備、環境に配慮した屋上緑化、緑豊かな環境や美しい風景を継承するグリーンバンクシステムを構築した。
 時代の流れに合わせ、2002年からペット共生住宅を供給。50年には高齢化や子育て支援を背景に、UR賃貸住宅の過半を占める中層階段室型住棟にエレベーターの導入も始めた。

分上住宅第1号の稲毛団地(千葉市稲毛区)

◆生活の質の向上にも注力 多世代暮らすまちづくり推進

 URの賃貸住宅と分譲住宅の第1号は1956年に誕生した。その後、東京や大阪など都市郊外に多数の団地を建設するなどの開発プロジェクトがスタート。「食寝分離」という当時の新しい住宅様式「DKスタイル」が普及したほか、ステンレス流し台や洋風トイレなど戦後の新しい生活スタイルを先導した。
 昭和40年代の高度経済成長期には公共・交通施設などの整備も含めた大規模な宅地開発に着手。昭和50年代は都市公園の整備といった生活の質の向上に注力した。
 昭和から平成へ年号が変わる時代には大都市への人口の一極集中を是正するため、多機能分散型のまちづくりを推進。昭和30年代建設の団地の建て替え事業に着手した。
 阪神・淡路大震災(1995年)では復興支援に尽力。バブル経済崩壊に伴う未利用地問題の解消へ、土地の有効活用や都市基盤整備へと業務の重点を移行していった。
 現在は全国で約1500団地約万戸の賃貸住宅を管理・経営。超高齢社会の到来や過疎化する地方都市の活性化、頻発する大規模な自然災害など複雑化する社会問題の解決に貢献し、「多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住まい・まち(ミクストコミュニティ)」の実現を目指している。

コンフォール柏豊四季台の室内

◆時代に合わせ住宅刷新

 UR都市機構は、現代の住宅事情に合わせてリノベーションを施した賃貸住宅も提供している。
 壁紙や床の張り替えのほか、レンジフードやつり戸棚付きのシステムキッチン、暖房洗浄便座対応のトイレ、自動お湯張り機能付き浴槽、洗面化粧台などを設置。和室を洋室化したり、キッチンやダイニングと一体化したリビングに変更もしている。

アルビス前原の浴室(左)とキッチン(リノベーション仕様)

 千葉幸町団地の一部の住棟では、爽やかな色合いの外壁にリノベーションされている。子育て中の入居者向けにエレベーターを設置。1階エントランスや部屋の玄関にベビーカー置きを設けた。防カビ防ダニの樹脂畳、子どもを見守れる対面式のキッチンなど安全で快適に暮らせるようにとUR職員が提案したという。
 また、生活用品ブランド「無印良品」や、スウェーデン発祥のホームファニッシングカンパニー「イケア」と連携した賃貸住宅も用意している。

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