【千葉魂】「言い訳で自分守るな」 夕陽に誓った大村コーチの想い

ドラフト1位新人の藤原(左)に指導する大村コーチ=1日、沖縄県石垣市の中央運動公園野球場
ドラフト1位新人の藤原(左)に指導する大村コーチ=1日、沖縄県石垣市の中央運動公園野球場

 ロッカーの弁護士になるな。大村巌1軍打撃コーチはキャンプ前日に行われた全体ミーティングで開口一番、口にした。それは2軍打撃コーチを任されていた昨年までずっと若手選手に口酸っぱく言い続けてきたことだった。

 「よくいるのだよね。試合が終わってロッカーでいつまでも自分を弁護するように周りに話をしている選手がね。そんなことをしても、なんの進歩もない。体調が悪かったとか、今日、使ったバットがイマイチだったとか。そんなことを言っている暇があったら、練習をして欲しいし、なにがダメで打てなかったかを反省すべき」

 2軍での若手指導が評価されての1軍昇格。今のマリーンズ野手陣に若手が多い事から、その性格や特徴を知り抜いている点を着目されての絶妙な配置転換となった。チームとして1年の始動となる春季キャンプでまず伝えたのは原点。ずっと言い続けている事だった。

 「つねに前向きであって欲しいし、言い訳で自分を守ることもしてほしくない。よく勘違いしている人がいるけど、評価というのは自分がするものではない。他人がすること。だから、自分で自分を良く見せようとしてもダメ」

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 熱血漢の理論派。情熱を持った指導と、着目点の鋭いアドバイスには定評がある。これまでファイターズとベイスターズの打撃コーチとして数々の選手を1軍の主力として育てあげた実績も買われている。今季、レギュラー取りが期待される平沢大河内野手、安田尚憲内野手を2軍で鍛え上げ、今季はドラフト1位ルーキー藤原恭大外野手も加入した。これら次代のマリーンズを背負う選手を勝ちながら育てていくという究極の目標を求められている。

 誰よりもマリーンズを愛しているからこそ全身全霊、このミッションに挑む。1987年ドラフト6位でオリオンズに入団。プロ通算で441試合に出場して36本塁打ながら勝負強い打撃でチームの勝利に貢献。ファンに愛された選手だった。思い入れの強いマリーンズの1軍打撃コーチに就任。2年連続Bクラスの悔しさを誰よりも強く感じていた。

 熱い全体ミーティングを終えた夕刻。大村打撃コーチの姿は宿舎前の砂浜にあった。海が奇麗に一望できるその場所で夕陽が沈むのをずっと見ていた。そして、熱い思いを口にした。

 「悔しいよね。マリーンズは2連続で80敗以上のBクラスに沈むようなチームではない。今年もきっと野球評論家の皆さまは低い評価をするかもしれないけど、それを見返さないとね。なにくそ魂でね。絶対に世間をアッと言わせてやるという強い気持ちを選手と一緒に持ってやっていきたいよね。秋には見とけよと」

 真っ赤な夕陽に誓った。マリーンズ打撃の強化と若手の台頭を。そして水平線の向こうまで陽が沈むまで誰に話すでもなく一人、熱く語り続けた。陽は沈み切るまで、熱き打撃コーチを優しい光で刺し続けた。

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 かくして2019年のキャンプが1日よりスタートした。例年にない活気がみなぎる。チャンスをつかもうと必死になる若手。才能豊か、将来有望な新人選手。実戦十分の大砲候補として新たにマリーンズに加わった新外国人選手たち。役者はそろった。勝利に向けて今は刀を研ぎ澄ませる時。言い訳はしない。待ったなしの戦いの日々で結果を出すだけだ。評価は他人が下す。すなわち野球ファンたちと世間。あっと言わせる時が近づいている。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)



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