3月に米ニューヨークで開かれる核兵器禁止条約の締約国会議で議長国を務めるカザフスタンでは、旧ソ連による核実験が繰り返されてきた。当時を知る人が少なくなる中、カザフ出身のアケルケ・スルタノワさん(41)は実験による被ばく者の証言を映像に残す取り組みを進めている。会議を機に、世界の人々が核実験被害の実態にも目を向けてほしいと願う。
同国北東部にあったセミパラチンスク核実験場では、1989年までの40年間に計456回の実験が行われ、周辺住民への健康被害が指摘されている。
実験場近くで生まれ育ったスルタノワさんは2000〜01年、日本の市民団体の支援で広島県の高校に留学した。原爆投下後の状況や後遺症を懸命に伝える被爆者を目の当たりにし「体験を話し、残すことが悲劇を繰り返さないことにつながるという意識を学んだ」。
カザフの大学を卒業後、一橋大大学院に進んだ。09〜12年、実験場周辺の村に住んだことのある約80人に聞き取りを行い論文に。健康被害や不安に苦しむ人々の声をできるだけ収録。18年に書籍化された。