
東日本大震災を契機に県内で“出番”が増えているのが、「NPO法人県防災士会」(千葉市、黒川民雄理事長)だ。
平時には、自治体が主催する防災訓練に参加を要請され、減災に役立つ実践的なノウハウを教えている。身近な日用品を使った生き残り術、救助や避難に有効なロープの結び方などだ。
有事の際は自発的に被災地へ出動していく。先の震災では津波被害に遭った旭市で倒壊家屋のがれきを撤去し、支援の手を差し伸べた。東北地方では遺体の発見や搬送に携わった。
◆「人助けの思い」
活動はすべてボランティア。行動を支えているのは「人助けの思い」と黒川理事長。「地震や津波などの自然現象は止められない。現象を災害に発展させないのが人の使命」と話す。
さらに、公的機関による救助の人員には限りがあるとして、「自分で身を守ることと住民パワーが大事」と自助と共助の重要性を訴える。
メンバーは「防災士」の資格を持つ59人。緑地にオレンジ色を加えた“制服”も自腹で作る。
2013年度は34件の防災訓練に駆け付けた。震災前に比べると3倍に増えた。今も週末を中心に県内各地を飛び回る。
背景には自治体が「3・11」を境に災害への備えを重要課題に位置付けていることがある。
その一つ、いすみ市。
13年9月、同市立長者小学校体育館で行われた初の「宿泊を伴う避難所運営訓練」では、メンバーが「避難所では多くの人がいても孤独を感じる。それを和らげる」と足湯とマッサージを提供した。
簡素な食事、風呂なし、夜は雑魚寝と、なにもかもが“非日常”の体験に不安を抱えながら参加していた地域住民から「精神的にリラックスできた」と感謝された。
こうした声がメンバーの励みになっている。公務員の秋葉夕香さん(41)はこう話す。「活動は大変だけど、身に付けた技を教え、喜んでくれる反応を支えにやっている」。
◆「有意義だった」
2月21日、千葉市で開いた一般向けの研修会。同会の松野精治事務局長は「皆さんが地域に戻り、防災力アップに役立ててもらうのが趣旨」と呼びかけた。
サラダ油や空き缶を使った簡易ランタンの作り方、「もやえ結び」など多彩なロープワークを実演。
台所用品のラップを手にした松野事務局長は「これは災害時に非常に使い道があります」。ぐるぐる巻きにすれば包帯や丈夫なひもの代わりに、水が使えない状況の食事なら皿の上にかぶせればいい、と助言した。
「防災のスキルアップをしたい」と会場を訪れた木更津市の伊田薫さん(66)は、いろんなほどけにくいロープの結び方があることに接し、「体験しないと分からない。有意義だった」と感心していた。
同会への問い合わせは松野さん、電話090(4373)0338。





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