B級グルメがブームだ。静岡県富士宮市や秋田県横手市などは「やきそば」を早くから看板に掲げ、全国的に浸透するようになった。関東では「厚木シロコロ・ホルモン」(神奈川県厚木市)や「行田ゼリーフライ」(埼玉県行田市)などが名を知られてきた。
安くて、おいしく、気軽に-が、B級グルメのキーワードだろう。焼きそばのほか、ラーメン、立ち食いそば、お好み焼きなどが、その代表的なメニューとして上げられる。人気の高まりの背景には、熱心な食による地域おこしの動きがある。B級グルメの祭典として、全国各地の団体が料理を持ち寄り、味と人気を競うイベントも毎年続けられ、盛況のようだ。
ご当地グルメとしての「B級」を厳密に定義することは難しい。古くから地域に伝わる郷土料理・名物料理との違いや、「A級」との比較などあいまいさもある。手軽で気取らず、しかし手を抜いているわけではなく、広く人気を集める庶民的な味と言ってもよい。
水産業や農業が盛んな房総半島では、海の幸、山の幸を使った郷土料理の存在が魅力的だ。どちらかと言えば地元色の薄いB級グルメは、それほど注目されなかった土地柄なのかもしれない。
新鮮な魚介類を生かした漁師料理の「さんが焼き」や「なめろう」など、全国的な知名度はさておいても、おなじみの味がたくさんある。また、最近は地元の食材を生かして各飲食店が独自の味を競う「おらが丼」(鴨川市)や、漁港に水揚げされる東京湾特産のアナゴに着目した「はかりめ丼」(富津市)など、地域おこし丼のブランド化も進行中だ。
一方で、「勝浦式タンタンメン」などの登場は、新しいご当地グルメの一つとして数えられ、食べ歩きの楽しみを広げてくれそうだ。
いまや「食」は、日常生活や自らの健康のみならず、観光にとっても重要な要素となっている。その土地に根差した食材と食文化を大切にするとともに、新しい味を求める遊び心が“ふるさとの味”をさらに豊かにしてくれるだろう。いずれにしても、まず地元の人たちに親しまれ、食べ継がれていくことが、食による地域おこしの成功の鍵を握っているはずだ。