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社説

後手後手に回らぬ対応を 急激な円高の進行


 今月20日にデフレ宣言をしたばかりだというのに、日本経済を先週後半、急激な円高が襲った。26日に1ドル=86円台の高値をつけた東京市場の円相場は、27日には一時、1ドル=84円台まで急騰した。約14年振りという円高水準だ。

 今回の円高の急速な進行には、景気低迷を背景とした米国の超低金利の長期化観測によるドル離れが底流としてあった。それに加えて、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系企業の経営危機が欧州・中東市場に波及してユーロ売りに火が付いたことで、円の高騰が加速。ドルやユーロに比べ、より安全な円へと資金が一気に流れ込んだ結果といえる。

 「ドバイ・ショック」はアジア、米国まで世界全体に波及し、27日にはニューヨーク株式市場も株価が急落。ドバイ政府など関係国が抜本的な解決策を早期に提示できなければ、リーマン・ショック以来の世界的な金融危機を招きかねない不安要因となってきた。

 このままでは、投資資金の「避難先」として世界的に円が買われる動きは止まらず、しばらくは円高基調が続くことも懸念される。デフレとのダブル・パンチとなった今回の円高に財界は危機感を強めており、日本経団連の御手洗冨士夫会長は「あらゆる対応をお願いしたい」と述べ、政府が円高是正に全力で取り組むよう求めた。

 急速な円高は輸出産業への打撃、株安につながるほか、輸入物価の下落を招き、デフレが一段と深刻化する恐れもある。政府は、第2次補正予算で実施する追加経済対策の取りまとめを急いでいるが、円高の影響を最小限にとどめ、対応が後手後手に回らぬよう、思い切った景気対策を打ち出すことが必要だろう。

 一方、円高阻止のため政府、日銀が市場介入に乗り出すかどうかが当面の焦点となっている。藤井裕久財務相は「適切な措置を取ることもありうる」と円売りの為替介入を示唆。週明けの市場動向を見極めた上で判断することになるだろう。しかし、介入も、日本単独で行うのでは市場への効果は薄いのが実情で、円高阻止の特効薬にするには国際協調が不可欠。日米欧の政府金融当局の緊密な連携で相場の沈静化に取り組んでいくべきだ。

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