英モクリンの工房で、カーリングのストーンを切り出した岩の前に立つジョン・ブラウンさん=8日(共同)
氷上に描かれた円の中心をめがけ、厚みのある円盤状のストーン(石)を滑らせるカーリング。五輪や日本の主要大会で使う石は、競技発祥の地とされる英北部スコットランド地方の小さな無人島で採れる希少な岩から作られている。
スコットランド南部モクリンにあるケイス・カーリング社の小さな工房。年季の入った工作機械で岩を切断する「キーン」という甲高い音が鳴り響く。
ろくろに似た装置で石を研磨して仕上げるジョン・ブラウンさんは、この道16年。氷上での軌道に影響するだけに、繊細な手業が必要だ。滑らかになった表面をなで「大切なのは指先の感覚」と誇らしげに話した。
五輪向けの石は重さ18キロほど。近年は全てスコットランドの西方沖にあるアイルサクレイグ島産の岩が原料だ。
島の面積は1平方キロに満たず、皇居(東京)を一回り小さくしたほど。約6千万年前の火山噴火でマグマが冷え固まってできたとされ、島内では珍しい2種類の花こう岩が採掘できる。
このうちブルーホーン花こう岩には水が染みにくい性質があり、氷と接する石の最下部に使われる。水が浸透して内部で凍り、変形や破損が起きないようにするためだ。コモングリーン花こう岩は弾力性があって欠けにくく、他の石とぶつかる部分に使われる。
島での独占採掘権を持つ19世紀創業のケイス社によると、1924年にフランスのシャモニーで開かれた冬季五輪の第1回大会でも石を提供。カーリングが正式種目に加わった長野五輪からは全ての石の製造を担う。
島の岩ほどカーリングに適した原料は「世界の他の場所では見つかっていない」とジム・イングリッシュ社長。競技の普及で販売先は70カ国以上に増え、日本カーリング協会によると、北京五輪に向けた日本代表決定戦でもケイス社の石が使われた。(モクリン共同)







