よみがえる津波の恐怖 住民、不安と戸惑いの一夜 東日本大震災被災・旭

16日午前4時35分ごろの飯岡漁港周辺。満潮に合わせて消防車両が警戒に回っていた=旭市
16日午前4時35分ごろの飯岡漁港周辺。満潮に合わせて消防車両が警戒に回っていた=旭市
飯岡漁港などを見渡せる刑部岬から海岸の状況を確認する旭署の警察官=16日午前6時27分、旭市
飯岡漁港などを見渡せる刑部岬から海岸の状況を確認する旭署の警察官=16日午前6時27分、旭市

 南太平洋・トンガ沖で15日に起きた海底火山の噴火に伴い気象庁が16日に発令した津波注意報は、県内でも沿岸部の18市町村が対象になった。東日本大震災で死者14人、行方不明者2人が出た旭市内では、11年前に甚大な津波被害を受けた飯岡地区の住民たちが不安な一夜を過ごし「地震が起きていないのに津波」と戸惑いの声も上がった。

 旭市防災資料館の元館長、戸井穣さん(77)は、東日本大震災後かさ上げされた海岸堤防から400メートルほど離れた場所に住んでいる。防災行政無線で目覚めると、急いで窓を開けて放送内容に耳を傾けるとともに「地震か」とテレビで情報を集めた。

 テレビニュースを流しながら妻と自宅上階で待機し「状況が変わると、避難の必要が出るかもしれない」と注意を払いながら一夜を明かした。戸井さんは「防災行政無線が早く、繰り返し鳴っていたのはよかったと思う」と振り返り「津波というとやはり恐怖心が出る」と話した。

 知人の釣り船を手伝うため飯岡漁港を訪れていた市川市の男性会社員(51)は、午前4時ごろから1時間半ほど港にいたが「30分ぐらい刻みで、全体の水位が上がったり下がったりしていたようだ」と説明。休日で船の定員が埋まる予約客がやって来たが、安全のため帰宅してもらったという。

 「地震が起こっていないのに津波」と疑問に感じたのは、中学3年の伊藤百々寧さん(15)。大震災では家族の営む鮮魚店が浸水被害に遭っており「前の津波のことを思い出してしまった」といい、不安でよく眠れなかった。

 伊藤さんの家も家族8人で「何かあればすぐ逃げられるようにしようと」と、テレビをつけたまま休んだという。伊藤さんは高校受験を直前に控え、最後の追い込みをしながら「何もなくてよかった」と胸をなで下ろしていた。


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