コロナ入院制限は「異常事態」 自宅療養、対応遅れ懸念 千葉大病院 感染制御部長・猪狩英俊氏

ICUでコロナ患者に対応する看護師ら(千葉大病院提供)
ICUでコロナ患者に対応する看護師ら(千葉大病院提供)
千葉大学病院感染症内科長の猪狩英俊・診療教授
千葉大学病院感染症内科長の猪狩英俊・診療教授

 政府が新型コロナウイルス患者を重症者以外は原則自宅療養とした方針に対し、千葉大病院(千葉市中央区)の猪狩英俊・感染制御部長(58)は4日、千葉日報社の取材に答え「自宅療養中に酸素投与が必要になった場合、対応が遅れる可能性がある。患者本人に観察させるのは異常事態」と疑問を呈した。一方、県の病床確保計画は同日から最高レベルの「フェーズ4」に引き上げられた。同病院も専用病床を30床から60床に倍増させる。猪狩氏は「県内の医療状況はとてもひどい。緊急事態の意味を理解し、命を守る行動を」と県民に行動抑制を強く呼び掛けた。

 フェーズ4移行に伴い、千葉大病院は命にかかわる緊急性が高い病気やけが以外の手術数を制限し、コロナ患者に対応する医師や看護師を確保。専用病床数は30床(集中治療室4床)から8月中旬までに60床(同10床)に倍増させる。

 こうした中、政府は重症者以外は原則自宅療養とする入院制限で「第5波」を乗り切る方針だが、猪狩氏は「このタイミングで自宅療養を容認する意図が分からない」と疑問視する。

 千葉、東葛北部、東葛南部など県内6圏域では7月19日からフェーズ3に引き上げられ、既に優先順位を付けて入院を判断している。猪狩氏によると、「これまでもコロナと診断され入院できた人は13%。残り87%は自宅かホテル療養」だという。

 懸念されるのは「自宅療養中に酸素投与が必要になった場合、対応が遅れる可能性がある」こと。「自宅で患者本人に観察させる現状は異常事態」と指摘した上で「患者数が増えていなければ中等症や重症の患者は医師の手が届くところで入院をさせるべき」と訴える。

 県によると、病床稼働率は県全体で54%。東葛南部地域は70%を超えたが、猪狩氏によれば「最新データ(4日)では東葛南部が80%に達し、県内医療状況はとてもひどい」と最前線から警鐘を鳴らす。 

 県内は3度目の緊急事態宣言が発令されたが、「人流は抑制できておらず、デルタ株は広がっている」と指摘。人の行き来が活発になるお盆を前に「緊急事態宣言の意味を理解し命を守る行動を。自分の行動が家族にも影響を与えることになる」と呼び掛けた。


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