「体力もたない」「食い止めるべき」 千葉県内飲食観光業者、思い交錯【緊急事態宣言再延長】

時短要請に応じている飲食店が並ぶ通り沿いは、金曜夕暮れの帰宅時間を迎えても人影まばら=5日、船橋市
時短要請に応じている飲食店が並ぶ通り沿いは、金曜夕暮れの帰宅時間を迎えても人影まばら=5日、船橋市

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う病床逼迫(ひっぱく)などを背景に、千葉県を含む4都県に発令されている緊急事態宣言の再延長が決まった。「国民の命と暮らしを守るため」とする菅義偉首相の決断に、厳しい経営状況が続く県内の飲食業者の思いは「ここで感染を食い止めるべき」「気持ちのコントロールが難しい」とさまざま。観光業者も「これ以上体力がもたない」と疲弊感をにじませる。公的支援を飲食店だけに限らず、対象を拡大すべきと訴えた。

 時短営業する船橋市本町のマグロ料理店「まぐろLABO」の山田雷矢さん(21)は「仕事帰りに寄ってもらえる夜がメインの店なので痛い」としつつ、宣言延長には「ここで感染を食い止めないと、この先気持ち良く来店してもらえないかもしれない」と理解を示す。

 ゴマたっぷりのラーメンが看板メニューで、夜は時短営業中の「拉麺阿修羅(あしゅら)」=同市湊町=の竹内雄大店主(44)も「常連客に支えられているが、新規はなかなか来ない。感染が収束し、どの店も普通に営業できるようになるのが一番」。要請を順守してきた市内の飲食各店は、協力金の延長支給内容にも気をもむ。

 松戸市中心部にある居食屋ダイニング「パストール」代表の土屋正明さん(47)も感染者数から「解除は難しいと思っていた」。昨年の「Go To イート」事業で戻ってきた売り上げは、再度の宣言で激減した。その後は1日6万円の協力金で赤字を補う日々。夜間に外飲みしない生活スタイルが定着してしまうのではないかと不安を募らせている。

 「もうすぐ宣言期間が明けると期待していた分、気持ちをコントロールするのが難しい」と話すのは、JR柏駅周辺で飲食店を複数経営するフーサワ代表取締役の風沢俊之さん(41)。特に気掛かりなのが社員の労働意欲への影響だ。「収束後にこれまでの売り上げ減を取り返すには、社員のモチベーションを維持できるかにかかっている」

 勝浦市で民宿を営み、かつうら朝市の会会長の江沢修さん(71)は「感染者が減らないのだから仕方がない」と冷静に受け止める。

 460年の歴史がある勝浦の朝市。江沢さんによると、宣言後も朝市を訪れる客が大きく減ってはいないという。ただ「市内の民宿はどこも宿泊する観光客はほぼゼロ」と話し、3月末で民宿が6軒廃業するなど、観光業を取り巻く厳しい状況に頭を抱える。

 「朝市が長く続く中で、良い時も悪い時もあったと思う。時間が来れば変わってくるのでは」と願うように話した。

 成田山新勝寺の表参道で工芸品販売店「藤倉商店」を営む藤倉健店長(50)は「1月、2月と耐えてきて3月の観光シーズンに期待していただけに、再延長は厳しい」と嘆く。

 多くの初詣客が新勝寺を訪れ稼ぎ時の正月には分散参拝が呼び掛けられ、人出は例年の1~2割にとどまった。卒業旅行や花見で多くの観光客が足を運ぶ3月に期待を寄せていただけに、売り上げへの影響に不安は尽きない。「感染状況を考えれば、今宣言を解除すべきでないことは理解できる。だが、いつまで我慢すればいいのか。先行き不透明で希望が持てない」

 飲食店には1日6万円の協力金があるが、同じように時短営業している工芸品店や土産物店にはこうした支援はない。「もうこれ以上体力がもたない。飲食店以外にも公的支援を検討してほしい」と訴えた。

 県都・千葉市の玄関口のJR千葉駅周辺を歩いていた県民からも、一定の理解を示す声が多く上がった。市原市の男性会社員(45)は「久しぶりに千葉駅に来たが、人が多くてびっくりした。宣言を延長し、気を引き締めることが大切でないか」と口にした。


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