
千葉大病院(横手幸太郎院長・千葉市中央区)は18日、新型コロナウイルス感染症のワクチンの有効性や副反応について研究する「コロナワクチンセンター」を設置したと発表した。接種開始が見込まれる3月中旬以降、職員のワクチン接種前後の血液と唾液を採取し、抗体がどのように確認されるか調べる。同病院によると、国とは別に病院独自で研究するのは日本初。
同センターは感染制御部の猪狩英俊部長をセンター長として設置。ワクチン調達の薬剤部や、副反応に対応する救急科など複数部署にまたがる職員約20人で構成した。ワクチンを研究する医学部の医学研究院とも連携し、協力に同意した職員2163人から少なくとも千人の結果をまとめ、データを発信していく。
現在、新型コロナには根本治療がなく、対症療法に限られるが、より効果的な予防策や治療法の発見につながるかも模索する。
研究では、接種前と2回目の接種後に血液と唾液を採取し、ウイルスに対抗する強さを示す抗体価を測定。日本人へのワクチン効果に関するデータを一定数確保する。被験者の一部は長期的に抗体価の変化を把握し、ワクチンの持続性を調べる。不安視される副反応やアレルギー反応についてもどのように発生するかデータを集める。
旧中央診療棟の稼働していない手術室12室を活用。広いスペースで接種や問診、採血など用途ごとにエリア分けした。地域医療関係者への接種も行う。昨年10月ごろから海外の実例を参考に設置を検討、寄付金約1億円を原資に立ち上げた。
横手院長は「これまで患者の治療に追われ防戦一方だったが、日本人へのワクチンの有効性など免疫学的な研究を行い、安心して暮らせる社会の回復に貢献したい」とコメントした。
◆コロナ病棟など復活
同病院は18日、一般病棟で新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生し、停止していた同病棟やコロナ病棟の新規入院患者の受け入れを再開したと発表。他にも、救急外来や手術の制限も解除され、これまでの病院機能が復活した。