ロシア選手団東京五輪除外でキャンプ地・長柄町困惑 フェンシング代表受け入れ 復興後押しへの期待が… 関連予算、イベント影響も

東京五輪の事前キャンプで覚書に調印するロシアフェンシング協会のカズベク・カラエフ氏(左)と清田勝利長柄町長=10月8日、長柄町役場
東京五輪の事前キャンプで覚書に調印するロシアフェンシング協会のカズベク・カラエフ氏(左)と清田勝利長柄町長=10月8日、長柄町役場

 ロシアの国ぐるみのドーピング問題は、来夏に迫った東京五輪でフェンシング代表の事前キャンプ地になっている長柄町にも波紋を広げている。選手の支援は続ける方針だが、関連予算や五輪機運醸成のためのイベントが見直しとなる可能性もあり、清田勝利町長は「ロシア代表として受け入れるつもりだったので、戸惑っている。詳細な今後の対応は決まっていない」と困惑を隠さない。

 10月8日、同町役場で行われたキャンプ受け入れに関する覚書の調印式。ロシア代表チームを束ねるカズベク・カラエフ氏は清田町長と握手を交わし「自然豊かな環境が選手のより良いパフォーマンスにつながる」とあいさつ。清田町長も「ホストタウンとして、どのようなおもてなしができるのか身の引き締まる思い」と話していた。

 フェンシングは千葉市美浜区の幕張メッセが競技会場。来春には町と茂原市の境に圏央道のスマートインターチェンジ(SIC)が完成予定で、会場までの交通の便も向上する。町は地域活性化策の一環としてSIC整備とともに、事前キャンプ誘致を推進してきた。

 だが、世界反ドーピング機関(WADA)は今月9日、悪質な検査データ改ざんに対し、ロシア選手団を東京五輪など主要国際大会から4年間締め出す処分を決定。潔白を証明した選手は個人資格で五輪に出場はできるが、国としての参加や国旗の使用は認めない方針を打ち出した。

 町企画財政課によると、成田空港から町への選手送迎費や関連イベントの開催費約400万円を編成中の来年度予算案に計上することを検討。学校給食でロシア料理を提供することも計画しているという。

 選手の受け入れ時には、地元小学生によるロシア国歌斉唱や町役場などでの国旗掲揚も検討しており、同課の担当者は「子どもたちや町民の機運醸成を進めていこうという中、中止になるものがあるのか心配」。ロシアが国として参加できない場合の「取り決めがない」(同課)といい、新たな調整が求められる懸念もある。

 キャンプの拠点となるのは、町内にある複合リゾート施設「リソル生命の森」。同施設によると、選手やコーチら約70人が来年7月中旬から8月上旬にかけて滞在する予定になっている。宿泊営業部長の小関伸二さん(56)は「ドーピング自体は残念なこと。多少受け入れ人数が減る不安もあるが、クリーンな選手に対する応援の気持ちは変わらない」と話した。

 同町は10月の記録的豪雨で甚大な被害を受けており、清田町長は「ロシア代表が来てくれることで明るい話題ができると思っていた」としながらも「個人参加の選手だけでもバックアップしていきたい」と話している。


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