被災県民、我慢限界 「夜も汗だく眠れない」 ルポ・停電続く君津

長引く停電による熱中症対策のため開設された避難所で過ごす家族。赤ちゃんは生後5カ月=11日午後1時ごろ、君津市
長引く停電による熱中症対策のため開設された避難所で過ごす家族。赤ちゃんは生後5カ月=11日午後1時ごろ、君津市

 台風15号による停電や断水が続く君津市。市は、妊婦や障害者、幼い子どもがいる家族を優先的に受け入れる「特別避難所」を設置し、多くの人が身を寄せた。ただ、復旧の見通しが見えず、市民の疲労は既にピークに達している。

 「ご飯もほとんど食べず、しきりにだっこをせがむようになった」。木村尚子さん(37)は、娘の灯ちゃん(2)の異変が気掛かりだ。エアコンが使えない自宅アパートから11日朝に避難してきた。「水をかぶったような汗で、あせもがひどかった。おしっこも出なくなった」と心配は尽きない。

 木村さんは停電後しばらくの間、エアコンをつけた車の中で灯ちゃんを寝かしつけていた。ガソリンは残りわずかになったが、給油したくても市内のガソリンスタンドには長い車列ができ、2時間近く待つこともある。「子連れではとても並べない。停電解消まではここにいます」と諦め顔。

 特別避難所には水や食料の他、粉ミルクや乳児用の毛布などが用意されている。11日未明に電気が復旧し、暑さをしのぐために一時的に訪れる人もいる。

 「うわー、涼しい!」。気温がまだ30度を超えていた午後4時すぎ、会社員、小倉勲さん(65)が特別避難所に入るなり、思わず叫んだ。台風で2階建ての自宅は外壁が大きくはがれ、断熱材がむき出しに。床は水浸しで、片付け作業に追われている。「夜も汗だくだよ。この3日間ほとんど眠れてない」

 雨漏りが心配で、市が提供するブルーシートで補修しようとしたが、壁の壊れた部分は約5メートルの高さにあり、自分でやるのは諦めた。業者からは建て替えを進められたが、約1500万円かかるという。「老後資金2千万円必要って言われているのに、まあ無理だよね」とつぶやき、自宅へ戻った。

 11日夕になっても市内では2万戸以上で停電が続いた。信号機は消え、市東部の主要道路「房総スカイライン」には、道路をふさぐように倒木が残っている。スーパーやコンビニなど店舗の多くは休業したまま。市が設けた携帯電話の充電サービスには11日だけで千人以上が殺到した。


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