虚偽書面虐待とせず 児相謝罪、隠蔽は否定 野田女児死亡

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 「お父さんにたたかれたというのはうそです」-。自宅で死亡した野田市立小4年の栗原心愛さん(10)は、傷害容疑で逮捕された父親の勇一郎容疑者(41)に虚偽書面を書かされていた。「児童相談所は子どもの命を守る役割がある。改めて残念な思いだ。本当に申し訳ない」。父親に書かされたとの認識があったとした千葉県柏児童相談所の二瓶一嗣所長は5日、県庁で開いた記者会見冒頭に表情をこわばらせながら謝罪した。

 「お父さんに早く会いたい」「先生に聞かれて思わず言ってしまいました」。一時保護解除後の2018年2月26日、勇一郎容疑者が、心愛さんが書いたと児相へ説明した書面には、勇一郎容疑者にとって都合の良い言葉が並んでいた。

 児相はこの時点で「父親に書かされている可能性が高い」と認識していたが、すぐに心愛さんに確認しなかった。二瓶所長は「他に緊急的なケースがあって確認できなかった」。児相職員が実際に確認したのは、自宅に戻ってから数週間たった3月19日だった。

 書面について児相職員から聞かれた心愛さんは「言っていいのかな」と口ごもる様子をみせた後、「書かされた」と打ち明けたという。「子どもにとっては非常につらいものであったと思う。虐待として捉える必要があった」。二瓶所長は後悔の表情を浮かべた。

 事件を巡ってはこれまでにも、一時保護解除後に児相や学校が一度も家庭訪問をしていなかったことや、心愛さんが「お父さんにぼう力を受けています」と訴えたアンケートの写しを野田市教委が勇一郎容疑者へ渡すなど、行政側の対応に批判が集まっていた。

 児相がこれまで一連の経緯を明らかにしていなかった点について、二瓶所長は「緊急的な対策としていま抱えている調査があった」「日々の業務がある中で情報開示は思い浮かばなかった」と釈明。隠蔽(いんぺい)との指摘には「まったく隠蔽のつもりはなかった」と、手元の資料に目を落としながら明確に否定した。

 また、勇一郎容疑者が書面提示した際に、児相職員に対し「これ以上家庭を引っかき回さないで」「名誉毀損(きそん)を検討してる」と告げられたことも明らかにした。資料を何度も確認しながら会見に応じた二瓶所長は「(担当者の)恐怖心については記録にない」。

 心愛さんを親族宅から自宅に戻す決定をしたのは、書面提示を受けた2日後の2月28日。しかし、実際に自宅に戻った日を問われると「記録がない」とし、対応のずさんさがあらわになった。