<野田小4女児死亡>「先生どうにかして」SOS父に筒抜け

野田市教委が実施したアンケート。「ひみつをまもります」との“約束”も
野田市教委が実施したアンケート。「ひみつをまもります」との“約束”も

 「先生、どうにかできませんか」-。自宅で死亡した野田市立小4年、栗原心愛(みあ)さん(10)は、いじめに関する学校のアンケートで、傷害容疑で逮捕された父親の勇一郎容疑者(41)からの暴力を訴え、“SOS”を発したが救いの手は届かなかった。父親にアンケートのコピーを独断で渡していた同市教委は31日、「重篤な危機感がなかった」と弁明。関係機関へも事後報告となり、危機意識の低さを露呈した。市は条例違反に当たるとして、引き続き経緯の調査を進める。

 市教委などによると、心愛さんは2017年11月6日、当時通っていた小学校で配布された「いじめにかんするアンケート」に回答。いじめの有無を尋ねる問いに「はい」を選び、相手を「かぞく」とした。自由記述欄には、勇一郎容疑者から「けられたりたたかれたりされています」と打ち明けていた。

 心愛さんの回答を受け、学校はすぐに市教委へ連絡。県柏児童相談所は、回答内容などから虐待の可能性が高いと判断し、アンケートを行った翌日の11月7日から12月27日まで、心愛さんを一時保護した。

 一時保護の解除後に行われた三者会談で、勇一郎容疑者は出席した校長や担任、市教委職員らに「名誉毀損(きそん)」「訴訟を起こす」「異議を申し立てる」などと威圧的態度で主張。アンケートの閲覧と複写を要求し、「家族を引き離された気持ちが分かるか」「解除はもう暴力がないということだろう」などとどう喝したという。

 厳しい要求に押し切られるように市教委は児相に連絡せず、独断で渡した。担当者は「重篤な危機感がなかった。渡すことで(心愛さんに)どのような影響があるか引っかかったが、(父親の)恐怖で追い詰められていた。私の判断で、守れる命を守れなかった。取り返しのつかないことをした」と悔いた。

 アンケートのコピーを渡したことは、約1カ月後の2月20日に開かれた「要保護児童対策地域協議会」の会議で配布した資料に記載する形で、初めて報告。市は、アンケートが情報公開条例の不開示情報に該当し、「渡してはならないものだった」と指摘。地方公務員法の信用失墜行為などを視野に、職員の処分を検討する。

 また、学校は三者会談で、勇一郎容疑者に情報開示や学校運営についての「念書」を求められ、示された文案通りの念書に応じて押印。念書に書かれた内容が関係機関で周知共有されていなかったことも、会見で明らかになった。


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