
成田空港を離着陸する航空機騒音で健康被害を受けているとして、成田市や芝山町など空港周辺5市町の住民が26日、成田国際空港会社(NAA)と国に対し夜間飛行禁止や損害賠償を求めるため「成田空港騒音被害訴訟団」を結成した。原告は130人以上になる見込みで、3月中をめどに千葉地裁に提訴する。
成田市の成田国際文化会館小ホールで結成式が開かれた。原告や支援者ら85人が出席し、各地域の代表者が航空機が飛行する様子を映した動画や図を用いて騒音の実情について訴えた。
弁護団によると、成田空港では現在、午前6時~翌日午前0時まで航空機の運航が許されており、住民の寝付きが妨げられたり、睡眠が中断されたりするなど深刻な健康被害が出ているという。訴訟では、午後9時~翌日午前7時の間、航空機の離着陸やエンジン作動を禁止するよう求める。
弁護団は、2029年3月までに3本目の滑走路新設とB滑走路延伸を行う空港機能強化によって被害がさらに増すとも批判。滑走路のスライド運用によって離着陸時間が午前5時~翌日午前0時半に拡大され「2本の滑走路に挟まれた住民はより悪影響を受ける。(天候理由による)弾力的運用時には午前1時まで許容され、飛行禁止は4時間のみに限られる」とした。
大阪国際空港や仙台空港など他の主要内陸空港と比べても、飛行禁止時間が数時間短い特異性についても言及した。
結成式後記者会見を開き、海渡雄一弁護団長(67)は「(成田空港の運用時間を)全国の内陸空港並みにしたい。原告やその子どもたちの健やかな暮らしを確保する」と強調。成田市在住で訴訟団長の加藤茂さん(72)は「とにかく眠れる夜と静かな朝を取り戻したい」と訴えた。
原告には現在、芝山町と茨城県稲敷市からそれぞれ約50人、成田市から約25人、横芝光町から約10人、多古町から数人が加わる見通し。騒音下の住民を原告に募っており、問い合わせは同訴訟団メールアドレス(jyumin_k@yahoo.co.jp)。