PCR検査の有用性 新型コロナウイルス感染症との戦い2 軽中等症の早期診断と重症化予防/地域医療を守る いすみ医療センター病院長・伴俊明 【医療現場からコロナ禍の羅針盤 情報提供とアドバイス】(5)

 
 

 感染症に限らずあらゆる病気において最も優れた対策は早期発見、早期治療です。新型コロナの感染者が国内で増えつつあった2020年3月30日、千葉県内でも最も医療資源に乏しい地域の一つである夷隅地域において新型コロナウイルス感染をいかに防ぐかを考える対策会議がいすみ市及びいすみ医療センターの関係者により始まりました。

 会議を重ねる中で、この地域の医療で提供できるものは地域のスクリーニング網を強化するPCR検査しかないという結論に至りました。これに基づき新型コロナウイルスを扱うことのできる検査室の建設、安全にPCR検査を実施できる機器の設置等が、当センターの構成市町からの特別予算にて実施することができました。その後検査技師の訓練を行った後、2020年6月22日に最初のPCR検査が始まりました。

 開始当初は陰性結果が続き、2020年8月2日までに検査数は483人に上りました。この中には夷隅医師会の協力により可能となったドライブスルーによる検体も含まれています。その後、2020年8月5日、当院検査での最初の陽性者が判明、保健所の指示にて医療センター内の感染症病床に入院のうえ速やかに治療を開始できました。以後2020年8月中に保健所からの検体を含め計14人の陽性患者を確認しています。

 その後も夷隅地域における感染拡大を防ぐことを最優先の目的としてPCR検査を継続しており、2021年8月31日までに合計8591件の判定を行っています=表。その科学的な有用性、感染予防に対する効果については今後の検証が必要ですが、近くの病院で簡単にしかも素早くPCR検査を受けることができる環境は、住民にとって心強いことではないかと思います。

 新型コロナウイルス感染症の流行が始まった当初から、いすみ医療センターはその入院病床を確保し患者さんを受け入れてきました。ただ病院には感染症あるいは呼吸器の専門医がいないことから、受け入れを軽症から中等症1までとしています。入院した患者さんで何らかの症状があり、胸部CTにて肺炎を認めた場合には点滴にて抗ウイルス薬レムデシビルの投与を行います。

 当院の場合発症から入院・治療開始までの期間がとても短いためか、レムデシビルが有効な患者さんが多い印象です。発症から時間がたち、酸素が必要となった患者さんにはステロイドを使用しています。タイミングよく使用した場合には非常に有用な薬です。

 これらの治療実施に当たっては亀田総合病院の感染症科の先生方にご相談していますが、いつも丁寧にアドバイスいただき大変感謝しております。最近は軽症患者に有効性が期待できる抗体カクテル療法も導入しこれまでに8人に使用、いずれも良好な結果を得ています。今後の大きな武器になると思われます。

 第6波の感染拡大が懸念される昨今ですが、いかなる状況でも早期発見・早期治療の有用性はゆるぎないものと思います。今後もこれを堅持して新型コロナウイルスへ対応していきたいと思います。


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