ドッグフードでジャンボタニシ捕獲 東金・県農業大学校の学生がわな開発 農薬使わず環境保全

わなを引き上げジャンボタニシを調査する齋藤さん。ゲンゴロウなどの小動物だけは脱出できるよう、ざるの上部には幅1センチの細い切り込みも入れてある=東金市の県立農業大学校
わなを引き上げジャンボタニシを調査する齋藤さん。ゲンゴロウなどの小動物だけは脱出できるよう、ざるの上部には幅1センチの細い切り込みも入れてある=東金市の県立農業大学校
開発中のわなのイメージ図(県立農業大学校提供)
開発中のわなのイメージ図(県立農業大学校提供)

 ドッグフードをおとりに稲作の天敵「ジャンボタニシ」を捕獲するユニークなわなを、東金市にある県立農業大学校(立崎政男校長)の研究科1年、齋藤竜太郎さん(21)が開発している。貴重な在来生物にも被害が及ぶ従来型の農薬散布に対し、駆除と環境保全の両立を目指す。全国初の研究とみられ、特許取得と商品化も進めている。

 ジャンボタニシが貝殻の維持に必要なカルシウム摂取のため共食いをする行動に着想を得た。齋藤さんは「ドッグフードにはカルシウムが含まれていて、試しに与えたら勢いよく食いついた」と原点を振り返る。

 わなは底に穴を開けた台所用のざるをかぶせたバケツにドッグフードを入れるだけの簡単な仕組み。水底面に沈めておくと、集まったジャンボタニシがざるの穴からバケツの底に落ち、二度と外には出られずそのまま酸欠死する。アライグマなどに荒らされる対策として、害獣が香りを嫌うハッカ油を固めた寒天も一緒に入れておく工夫もした。

 一度設置すれば、満杯になるまで特に管理は不要。ドッグフードの油分で臭いが広く水面に広がるため、見回りやすいあぜに沿って等間隔に置いておくだけで水田全体から効率よくジャンボタニシを集められる。

 面積10アールの水田にわな15個を仕掛けた実験では1カ月で計1748匹を捕獲。終盤にはほとんどを取り尽くし効果も抜群だった。さらに、同じく水田の厄介者である外来種「アメリカザリガニ」も大量にかかっていた。

 材料費にもこだわる。バケツとざるはいずれも100円ショップで購入でき、ドッグフードも安く手に入る。ハッカ油は割高だが、寒天に混ぜる濃度は1%程度と少量。売値を一つ500円程度に抑えれば、既存の駆除剤と同等以下のコストにできそうだという。

 齋藤さんは「ジャンボタニシは大きな問題だが、農薬は絶滅危惧のカエルやゲンゴロウ、サンショウウオが暮らす生態系の負担になってもいる」と指摘する。「農業とは命を育む営み。SDGsも注目される今、環境保全型の駆除方法として形にしたい」と話す。


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