「上手さ」「ゆるさ」が共存 二つの動物壁画(市原市)【千葉まちなかアート】

干支の動物たちを描いた「ゆるい」画風の壁画(一部)。2002年、市立辰巳台中造形部の作=市原市八幡
干支の動物たちを描いた「ゆるい」画風の壁画(一部)。2002年、市立辰巳台中造形部の作=市原市八幡
動物たちのユニークな行動を描いた「鳥獣戯画」を模した壁画(一部)。2005年に市原八幡高校の生徒が制作した=市原市菊間
動物たちのユニークな行動を描いた「鳥獣戯画」を模した壁画(一部)。2005年に市原八幡高校の生徒が制作した=市原市菊間

 市原市内の館山自動車道わきの道路を車で走っていたら、ガード下に「鳥獣戯画」を模した壁画を見つけた。ウサギ、カエル、サルなどが輪になって踊ったり、肩車をしたりとさまざまなユニークな行動を繰り広げている。「上手いなぁ…」と、完成度の高さについ見とれてしまった。

 それから数分、車を走らせると、別のガード下の壁画に目を奪われた。思わず口に出た言葉は「ゆるすぎる…」。描かれているのは干支(えと)の動物。モチーフが動物という点では同じだが、画風は「ヘタウマ」。決して、けなしているわけではない。ゆるさが妙に味わい深くて、むしろ好きな絵だ。

 好対照な動物壁画の“共存”に興味が湧き、辺りを巡った。すると、キース・ヘリング(米国のポップ・アート作家)風の人型模様が躍動する作品、夕焼けの中を羽ばたく鶴の群れが美しい作品…などいろいろと面白い壁画に遭遇。作者名を見ると、いずれも市内小中高校の児童生徒らが市塗装協同組合とともに手掛けたようだ。

 市によると、これらの壁画は子どもたちの地域への愛着と誇りを醸成するとともに、壁へのいたずら書き防止を狙いに、地元町会などが提案し、市が賛同。1994年から制作が始まったという。市内に少なくとも20点はあるというから、なかなかの豊富さだ。

 子どもの自由な発想が発揮された壁画群は、街に潤いを与えていて、鑑賞して回ると楽しい。ただ、塗装が剥がれている箇所があるなど手入れが行き届いていないのが少々残念。せっかくの地域の財産なのだから、もっと光が当たるよう願うばかりだ。
(平口亜土)


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