障害者施設ピンチ 利用者「他の施設では駄目」 千葉市緑区・土砂崩れ入所困難 【房総豪雨】

擁壁ごと崩れた施設裏の崖を説明する大原施設長=28日正午ごろ、千葉市緑区の障害者支援施設「ガーデンセブン」の2階屋上
擁壁ごと崩れた施設裏の崖を説明する大原施設長=28日正午ごろ、千葉市緑区の障害者支援施設「ガーデンセブン」の2階屋上
窓ガラスを割って土砂が押し寄せた職員室
窓ガラスを割って土砂が押し寄せた職員室

 千葉県を襲った25日の記録的な大雨により、千葉市緑区大木戸町の知的障害者支援施設「ガーデンセブン」で土砂崩れが起き、施設が通常利用できない状態になっている。施設にいた入所者と職員ら58人にけがはなかったが、押し寄せた土砂は今も建物1階部分でせき止められたまま。復旧のめどは立っておらず、入所先がなくなった保護者は「ここが第二の家。他の施設では駄目」と困惑している。

(地方部・武内博志)

 同施設は、社会福祉法人「父の樹会」が市の土地を借りて1999年に開設。鉄筋コンクリート3階建て(地上2階、地下1階)に知的障害者40人が入居可能で、短期入所で6人が利用できる。

 同施設によると、豪雨が降り注いだ25日午前11時50分ごろ、施設裏の高さ10~15メートルの崖が幅30メートル以上にわたり崩落した。崖には2004年ごろに市が設置したコンクリートの擁壁があったが、擁壁ごと壊れ落ち、土砂や木が施設1階に押し寄せた。土砂は職員室の窓ガラスなどを割って屋内に流入した。

 当時は30~60代の利用者39人、職員ら19人の計58人がいたが、被害を受けなかった食堂で昼食中だったため難を逃れた。土砂崩れは食堂に移動した約5分後に起きたという。大原淳一施設長(56)は「バキバキ、ゴーというものすごい音がした。奇跡的に人がいなくて本当に良かった」と振り返る。現場は土砂災害警戒区域ではなかった。

 利用者は、職員が自宅に送ったり、家族が迎えに来たりして帰宅。現在は保護者がいない6人が、現場から遠い多目的棟で寝泊まりしている。

 翌26日から始まった土砂の撤去作業は、地域住民や別法人の職員らがボランティアで加勢し、総勢約70人で取り組んだ。だが、崩落土砂の大部分は建物1階でせき止められたままの状態で残る。復旧の見通しは立っておらず、「次の雨でさらに崩れたら…」(大原施設長)という恐怖は拭えない。11月9日に予定していた恒例の文化祭は中止を余儀なくされた。

 自閉症で約20年間、施設を利用する男性(39)の母親(69)は「子どもは被害を理解できないので、夜中でも『いつ帰れるのか』と聞いてくる」と吐露。障害の特性から、普段とは異なる場所での安定した生活には時間がかかるという。「ここは第二の家。やっとここに慣れたのに、どうしよう。他のどんなに良い施設でも駄目」と不安げに語った。

 施設の運営をボランティアで手助けする大橋清美さん(73)は「自宅での生活が難しいからみんなここに来ている。普段と変わらない生活ができるよう救済してほしい」と行政の支援を求める。

 千葉市障害福祉サービス課は、土砂の撤去方法を建設局と協議し、同様の施設でつくる連絡協議会と利用者の受け入れ先を調整する方針。同課は「利用者の特性を見てマッチングさせていくことになると思う」と説明する。

 大原施設長は「まだここが安全な場所かどうか分からない。まずはここが大丈夫だというお墨付きが欲しい。利用者の一時的な受け入れ先を市と相談したい」と話した。


  • LINEで送る