菓子、命名権など営業努力 がんばれ銚子電鉄 【千葉地理学会連載 おもしろ半島ちばの地理再発見】

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沿線で一番立派な犬吠駅
沿線で一番立派な犬吠駅
外川駅のホーム
外川駅のホーム
外川駅の案内板
外川駅の案内板

 日本遺産「北総の4都市」の一つ、銚子を特色付けるものの中から銚子電鉄を取り上げます。

 銚子電鉄は1913(大正2)年に銚子遊覧鉄道として犬吠まで開業しました。江戸時代から盛んであった銚子磯巡りの客を運ぶことが目的だったと思われますが、開業後4年目に第一次世界大戦の影響もあって廃業してしまいます。

 しかし23(大正12)年に銚子鉄道として再開業し、48(昭和23)年に銚子電気鉄道となりました。総武本線の銚子駅から終点の外川駅までわずか6・4キロ、10駅のローカル線です。

 95年までは年間100万人を超える利用客がありましたが、その後も年々減少していきます。そこでさまざまな営業努力がなされ、一時、ぬれ煎餅の販売が話題になりました。

 しかし東日本大震災後、再び観光客が激減してしまい、2013年には50万人を下回ってしまいました。地元では新たな取り組みを始め、最近では企業による協賛で駅に愛称を付ける「ネーミングライツ」が話題になりました。

 各駅にユニークな愛称がついていますが、中でも笠上黒生(くろはえ)駅が「髪毛黒生駅」となるなどマスコミでも大きく取り上げられました。

 一年ごとの契約更新で愛称が変わっていくこともありますが、18年は、起点の銚子駅が「絶対にあきらめない銚子」に、途中の西海鹿島駅が「みんなの夢銚子電鉄」に、そして終点の外川駅が「ありがとう」を名乗っています。銚子電鉄を応援していることが伝わり、とても好ましく感じます。終点まで乗って「ありがとう」の駅名に迎えられる気持ちはなかなかいいものです。

 その他にも、しょう油工場と隣接しており電鉄の車庫のある仲ノ町駅は趣きのある建物が有名ですし、飯沼観音最寄りの観音駅はその名とは違い洋風の建物です。

 薬品会社がスポンサーで「上り調子、本調子」を名乗る本銚子駅は駅舎の建て替えがテレビで取り上げられ、また近くの跨線橋が電車の撮影ポイントとしても有名です。電鉄内で最も立派な駅舎は犬吠埼最寄りの犬吠駅で、ポルトガル風の美しい駅舎です。犬吠駅ではぬれ煎餅の実演販売も行われています。

 そして、終点の外川駅は開業当時の木造駅舎が残されており、外観も駅舎の中も風情があります。駅には1950年製で伊予鉄道から銚子電鉄に移り、2010年まで旅客運転に使用されていた懐かしい「デハ801」が展示されており、中を見学することができます。また駅前には銚子が朝ドラの舞台になった時の電鉄との関わりが解説されています。

 銚子電鉄の経営は現在でも厳しいものがあります。銚子市では電鉄への応援基金を設け、ふるさと納税を生かした寄付を呼び掛けています。また昨夏もお化け屋敷電車を走らせ、8月から経営状況の厳しさを逆手に取った「まずい棒」の販売をするなど、営業努力も続けられています。

 市民の足でもありさまざまな面で特色を持ったローカル鉄道がこれからも走り続けてくれることを祈るばかりです。

(秀明大・敬愛大非常勤講師 鎌田正男)