“隠れた名画”世に発信 銀幕に独自の色映す 戦前開館の千葉劇場 

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多くの映画ファンや地元住民が通う千葉劇場=千葉市中央区
多くの映画ファンや地元住民が通う千葉劇場=千葉市中央区
赤いシートが並ぶ劇場内
赤いシートが並ぶ劇場内

 週末は映画館に行こう! でもどこに? 流行(はやり)のシネコン(複合映画館)はハリウッド映画を中心に作品が上映され、どこに行っても代わり映えしない。「映画好き」を気取りたいなら、選ぶべきはミニシアター。そうだ! 県都・千葉市中央区には戦前に開館した老舗の小屋があった。その名もすばり「千葉劇場」。劇場支配人の鴫原光希さん(35)とスタッフが、“隠れた名画”を発掘してスマッシュヒットさせている。その選択眼は常連客のお墨付きだ。

 戦前に開館した亥鼻館がルーツ。空襲で焼失したが、戦後に再建した。1993年の建て替えでビルの2階にある現在の姿に。ワンスクリーンで、110客席。ロビーの壁にはスタッフが切り抜いた映画記事が貼られ、レトロ感も漂う。

◆存在意義

 「面白い映画が世に出るチャンスをつぶさないところにミニシアターの存在意義がある」。鴫原さんはこう力説する。「県内で千葉劇場しか上映しない作品」を心掛け、年間で洋・邦画55~60本を公開。40~60代の中高年を中心に平日は80人、週末は200人程度が足しげく来館する。

 父親と子どもの頃から親しんできた同区の主婦(64)は「都内でしか上映されない映画が観(み)られてありがたい」。稲毛区の60代女性も「千葉劇場が上映する映画だから間違いない」と絶大な信頼を寄せる。

◆差別化

 鴫原さんによると、ミニシアターの数は減り続けて、県内に同劇場のほか、「キネマ旬報シアター」(柏市)だけ。シネコンが主流となる中、商業主義にとらわれず上映作品を選べる自由度を強みに、独自の“色”を銀幕に映じ、差別化を図っている。

 2017年にはアンケートによるリクエスト上映を実施。今年9月、名優樹木希林さんが亡くなった際には、翌月に追悼特集として、樹木さんがナレーションを務めたドキュメンタリー映画『人生フルーツ』と是枝裕和監督作『万引き家族』を上映した。

◆若者へ

 主要客層の中高年を大事にしながらも、若い世代を呼び込もうと、SNSを使った広報にも取り組む。

 上映中に扉の向こうから漏れてくる笑い声や上映後の雑談から観客の反応は直に伝わる。大ヒット中の低予算映画『カメラを止めるな!』のように、口コミやSNSで評判になり、都内のわずか2館の上映から全国で公開された例も。「自分が良い映画だと思っても、お客さんが観に来てくれないこともある」と鴫原さん。でも「『上映してくれてありがとう』と言われた時はやりがいを感じる」と笑顔で話した。

◆千葉劇場に行こう!

★今週末の上映作品

 「セルジオ&セルゲイ宇宙からハロー!」午前10時~、午後2時~、午後5時50分~。
 
 「斬、」午後4時~、午後7時50分~。
 
 「いろとりどりの親子」正午~。

★ファーストデー

 12月1日は、観賞料金が幼児(900円)を除き、一律千円に(通常大人1800円)。