【千葉県民の日特集】 地方創生〝特効薬〟に サーフィン会場の一宮町

釣ヶ崎海岸に整備された「ステラ釣ヶ崎」
釣ヶ崎海岸に整備された「ステラ釣ヶ崎」
サイン入りサーフボードなどが展示
サイン入りサーフボードなどが展示

 五輪で初めて採用されたサーフィン競技の会場になった一宮町の釣ヶ崎海岸は年間を通じて良質な波が打ち寄せ、古くから多数のプロ選手を輩出した「波乗り道場」として愛されてきた。町は東京五輪に向けて整備した施設などを〝特効薬〟に地方創生を進めている。

 町の海岸線には全域にわたって良好なサーフポイントが存在している。地元に根付くサーフ文化を地域活性化に生かそうと町は2015年に町の総合戦略「一宮版サーフォノミクス」を策定した。

 同じ頃に東京五輪の追加種目にサーフィン競技が決まり、町は近隣自治体と協力して誘致活動を展開。世界最高レベルのサーフィン大会の開催実績のある釣ヶ崎海岸が選ばれた。

 町は、東京五輪の効果を町全域に波及させようと、観光客を呼び込み、住民が快適に過ごせる町づくりを推進。18年に町内にあるJR上総一ノ宮駅前に観光拠点となる「上総一宮観光案内所」が国の補助金を活用して完成した。ロードバイク、電動アシスト付き自転車、ビーチクルーザーなどのレンタサイクルや、サーフボードの貸し出しを行うほか、地元産の新鮮な農産物などを並べる。

 19年には県の補助などを受けて念願だったJR上総一ノ宮駅の東口がオープン。踏切を渡らずに海岸との行き来が可能になった。 東口には町役場があり住宅も多く、町民の利便性が格段に向上した。JRによる駅のリニューアルも行われ、駅舎の外観や待合室、トイレを改修。サーフボードをモチーフにしたベンチを設けるなど五輪会場にふさわしい雰囲気を演出した。

 昨年7月25~27日に開催されたサーフィン競技には世界トップクラスの選手が集結。難易度の高いターンやエアリアル(空中に舞い上がる技)など華麗な技を披露した。同町出身の大原洋人選手が8強入りするなど大会は盛り上がった。

 大会後、釣ヶ崎海岸周辺を県と町がコラボして「県立九十九里自然公園 釣ケ崎園地」として整備。今年4月にオープンした「ステラ釣ヶ崎」は、大会関係者が使用した施設を新築した。シャワーとトイレを完備。案内所には五輪マスコットキャラクター「ミライトワ」、日本代表選手の写真パネル、サイン入りサーフボード、選手が立った表彰台などが展示されている。芝生広場と車100台が止められる駐車場も造られ、サーフィンの聖地を訪れる観光客らを受け入れている。


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