


勝浦市で不動産事業を展開する東急不動産ホールディングスグループの2社は、市や漁業関係者らと協力し、地元で水揚げされた未利用魚を活用した絶品グルメ「勝浦ブルーバーガー」(税込み1650円)を開発した。「磯焼け」の要因の一つとされる、海藻を食べるブダイなどの植食性魚類の可能性を探求する地域ぐるみの取り組みで、究極の地産地消とサステナブル(持続可能)をコンセプトに「水産業の目玉になっていければ」と市や漁協関係者の期待は大きい。
(馬場秀幸)
地域も注目する新たなフィッシュバーガーを考案したのは、東急不動産と東急リゾーツ&ステイ(いずれも東京)。2社は8月上旬、地元の海で海藻が枯れる磯焼けから藻場を守るため、市や勝浦漁協、新勝浦市漁協、同漁協浜行川藻場保全グループなどと対策協議会を本格的に設置。これに先立ち3月ごろから関係者の協力を得て、廃棄されるはずの“嫌われ者”を仕入れ、新メニュー作りに取り組んできた。
◆定義は「勝浦産」
勝浦ブルーバーガーとして誕生したボリューム満点のバーガーは「さんが焼きバーガー」「フィッシュ照り焼きバーガー」の2品。さんがは、郷土料理「さんが焼き」をパティに、サンショウとニンジンを使ったフランス料理ラペやシシトウ、ミョウガを合わせた薬味ペーストを使った一品で、照り焼きは、まるで肉のような香ばしさと食感を再現。人気の照り焼きソースの味わいに仕上げた。
色味も豊かで、見た目も映えるこのバーガーの定義は勝浦産の未利用魚を使っていることだけ。関係者は名物B級グルメで全国区の人気を得る「勝浦タンタンメン」に次ぐ、新たなご当地グルメを目指しており、「食べてもらうことで、藻場保全活動のサイクルを好循環させ、勝浦を盛り上げていきたい」と語った。
◆漁師の収入増に
磯焼けを引き起こす植食性魚類を巡っては昨年、県立大原高校(いすみ市)が地域の漁協や水産加工業者と連携してメンチカツを勝浦市と御宿町の学校給食で提供。好評だっただけに、新勝浦市漁協の担当者は「磯焼けによる藻場消失は喫緊の課題。市場価値がつかず、駆除していた植食性魚類が幅広く流通すれば、漁師の収入増にもつながる。水産の目玉になっていければ」と期待を示した。
勝浦ブルーバーガーは、勝浦東急ゴルフコース(勝浦市)内のレストランで10月1日から月替わりで、1日10食限定のランチメニューとして提供する。隣接のリゾートホテルでもミニバーガーをビュッフェ形式で提供するとしている。
今月20日には勝浦東急サニーパークふれあい広場でのPRイベントでお披露目される。さんが焼き、照り焼きともに500円、ミニバーガーを串に刺して盛りつけた「スライダーバーガー」は千円で販売。いずれも税込み。イベントは午後3時~8時半。問い合わせは同パーク(電話)0470(76)2818。