2023年9月2日 05:00 | 有料記事

熊本地震で、1階部分が崩壊した「旧耐震基準」とみられる住宅=熊本県益城町(千葉大学大学院林准教授提供)

耐震化の意義を強調する千葉大学大学院の林准教授=千葉市稲毛区

東日本大震災で、液状化現象や道路の隆起、土地の陥没など被害の大きかった「都交差点」脇の住宅地=2011年3月13日、我孫子市
千葉県内で住宅の耐震化が十分に進まない現状を有識者はどう見るのか。千葉大学大学院工学研究院建築学コースの林和宏准教授(39)は、主に県北部で地盤が緩く、震度が大きくなる土壌だとし「他県以上に耐震化を検討する必要がある」と警鐘を鳴らす。未耐震化の住宅倒壊による火災で延焼被害が起こり得ると指摘。「自分だけでなく、周囲の家にも被害を与える可能性をはらんでいると知ってほしい」と呼びかけた。
林氏によると、千葉県は約400年前に内海や湿地を埋め立てた地域が北部を中心に多い。2011年の東日本大震災では、沿岸部のみならず内陸部でも液状化の被害があった。地盤が緩く、震度も大きくなりやすいという。
林氏は耐震化の意義を強調する。16年の熊本地震の際、最大震度7を記録した益城町の現地調査では、同じエリアの住宅でも耐震化の有無で被害状況は大きく異なっていたという。住宅の構造から「旧耐震基準」のままと判断される住宅は、筋交いや壁が少ない1階が崩壊していた。
一方で現行の「新耐震基準」とみられる住宅は外壁などが大破したものの、倒壊までは至っていなかった。さらに木造住宅の耐震基準が厳格化した00年以降に建てられたとみられる住宅は「外部的な被害がほぼ見受けられなかった」という。耐震性能による差は目に見えて明らかだった。
液状化が起 ・・・
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