2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

【千葉魂】高部、骨折の悔しさ糧に 同期2人に追い付き追い越せ

新型コロナで外出自粛となった際は寮の駐車場で汗を流した高部=6月5日、ZOZOマリン
新型コロナで外出自粛となった際は寮の駐車場で汗を流した高部=6月5日、ZOZOマリン

 悔しさと焦る気持ちを抑え、黙々と2軍球場でユニホームを泥だらけにする日々を続けている。ドラフト3位ルーキーの高部瑛斗外野手はコツコツとアピールを続ける。満点デビューをした直後に予期せぬ不幸に見舞われた。プロ初実戦となった石垣島春季キャンプ中の2月8日。台湾・楽天戦にて「2番・右翼」で先発出場すると2安打3打点1盗塁。初回1死から左前打で出塁すると次打者の初球に二盗成功。同点の二回2死満塁では左中間へ走者一掃となる決勝三塁打を放った。しかし、この打席でスイングの際に右手を痛めた。沖縄県石垣市内の病院での診断の結果、右手有鉤(ゆうこう)骨骨折と診断された。

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 「ポキンという音が聞こえて手が動かなくなりました。アレっと思いました」

 高部は当時の事を悔しそうに振り返る。それは野球人生で初めて経験する大きなけがだった。翌日に一人、緊急帰京。右有鈎骨骨折骨片除去の手術を受けた。

 「実戦に入って、スイッチが入ったタイミングで強制的にスイッチを切られた感じ。悔しいというか残念」と高部。

 最高のアピールをしてスタートを切ったはずが、まさかの出遅れとなってしまった。リハビリに専念をしている間に同期で同じ大卒の新人選手たちは1軍でアピールを続けた。結局、けがも響き、開幕は2軍スタート。ドラフト2位の佐藤都志也捕手、ドラフト5位の福田光輝内野手は開幕1軍入りを決めた。6月27日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)では佐藤がプロ初ヒットをサヨナラ打という劇的な形で決めると、福田光も7月1日のイーグルス戦(楽天生命パーク)でプロ初ヒットを含む2安打を放った。この事を高部はネットで知った。

 「2人とも1軍で経験を積んでいる。結果を出せない事も悔しいけど、そういう場に自分がいれないことも悔しい。1軍で経験をしないと分からない事は多いですから。なんとか追いつこうと必死です。刺激になるし、これからも切磋琢磨(せっさたくま)してやっていきたい」。高部は悔しさを押し殺すように前を向く。

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 練習をしないと気が済まないタイプだ。だから時間を見つけてはバットを振る。新型コロナウイルス感染予防の観点から練習が制限され、寮内での待機を命じられた際は寮の駐車場で黙々とショートダッシュを繰り返し、走塁のスタートのタイミングを練習していた。その姿を何度となく目撃した相原勝幸2軍マネジャーも「とにかくいつもどんな時も体を動かさないと気が済まないみたい。駐車場で汗を流している姿は印象的だった」と目を細める。このことについて高部は「なるべく走る感覚を鈍らせたくなかっただけです」と笑った。

 シュアな打撃と自慢の脚力を武器に2軍戦で確実にアピールを続けている。そしていつ1軍から呼ばれてもいいように準備を欠かさない。

 「まだまだだと思います。ただ上に呼ばれた時はベストであるように自分を持って行きたいと思っています。チームの勝ちに貢献する選手になりたいです」

 高部は虎視眈々(たんたん)とチャンスを狙っている。そしてそのための準備を怠らない。一流が、しのぎを削るプロの世界。チャンスは準備をしている選手でないと気が付かない。準備をせずに妥協をする選手はチャンスが来ても分からず、通り過ぎる。高部は目をギラギラと光らせている。どんなわずかなチャンスも小さな隙間でも見つけて入り込もうという気概に溢れている。背番号「38」が大舞台で暴れる日はそう遠くなさそうだ。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)



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