

新型コロナウイルスの影響で延期となった東京五輪は、23日で開幕まで半年。感染拡大で先行きは不透明だが、千葉県内をつなぐ聖火リレーのランナーは開催を信じてトレーニングを続けている。
◆元アスリートの意地で走る モントリオール大会「金」・田村悦智子さん(館山)
1976年モントリオール五輪の女子バレーボールで金メダルを獲得した館山市の田村(旧姓前田)悦智子さん(68)は「本当に(開催)できるのかな…」と心配しつつも、「いつ『出発』と言われてもいいようにトレーニングを続けている」と前を向く。
田村さんは自身が金メダルを獲得した大会について、「(開催国の)カナダに到着してからも、ものすごく練習をしていた」と回顧。「きっと現役選手も(五輪開催について)考える暇がないくらい自分を追い込んでいるはず。不安を残さず、悔いのないよう準備してほしい」と助言する。
自身も聖火リレーに向け、週2回以上のウオーキングや日々のストレッチなど、今できることを積み重ねている。「本当は歩くのも大変な状態だけど、元アスリートとしての意地がある。自分が生涯楽しく生きていくためにも、運動を続けたい」と力を込めた。
◆一生一度の重さ実感 サーフィン選手・軽部太氣さん(一宮)
五輪初採用のサーフィンの会場となる一宮町で生まれ育ったサーファーで、強化指定選手として腕を磨いてきた軽部太氣さん(21)は、今夏の祭典の開催を信じてやまない。聖火ランナーとして「一生に一度の貴重さを実感し、五輪成功を祈って走りたい」と本番を心待ちにする。
開催延期が決まった昨年3月は深く落ち込んだが、1年後の開催へ「ポジティブなモチベーションで過ごしてきた」。サーフィンに光が当たる“記念大会”だからこそ、コロナ禍の中で「無観客でもどんな形でもいいから開催してほしい」と思いは切実だ。
選手としては「勝って成績を出すだけでなく、人々の印象に残るアクションを起こしたい」と強調。ここ1年は「サーフィンを知ってもらえるように」と、ユーチューブ公式チャンネル「かるたいTV」で動画投稿に取り組んでおり、シーンの盛り上げにさまざまな挑戦が続く。
◇千葉県内の聖火リレー
県内の聖火リレーは、延期された大会の日程に合わせて当初計画から1日前倒し。7月1日に神奈川県から引き継ぎ、東京湾アクアラインの海ほたる(木更津市)をスタート。3日までの3日間に258人(組)が21市町をつなぎ、松戸中央公園(松戸市)でゴール。茨城県に受け渡す。全国の都道府県44番目。延期前に県選考分の75人の聖火ランナーは決まった(公表は74人分)。今回も原則として同じランナーを維持する。各日のスタート・ゴール地点での式典会場も維持されるが、コロナに対応した簡素化などが今後の焦点となる。