カミツキガメの捕獲難航 印旛沼水系で大量繁殖 生態系に影響懸念

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印旛沼水系周辺で捕獲されたカミツキガメ=千葉市中央区の生物多様性センター(共同)
印旛沼水系周辺で捕獲されたカミツキガメ=千葉市中央区の生物多様性センター(共同)

 千葉県内の印旛沼水系で、外来種のカミツキガメが大量に繁殖し、捕獲作業が難航している。ペットとして輸入されたものが野生化したとみられ、県は人への危害や生態系への影響を懸念。他の地域でも目撃例が相次ぎ、専門家からは早急な対策を求める声も上がる。

 「いたぞ。わなの中に入ってる」。6月中旬の印旛沼。県から委託を受けた地元漁師らが、小型船で移動しながら沼底に置いたかごの形のわな100個を回収し、周辺の川や水路を含めて計44匹を捕らえた。

 カミツキガメはカナダ南部から南米にかけて広く生息。日本では1960年代以降、ペット用に輸入されたが、後に野外に放され繁殖したとみられる。大きなもので鼻先からしっぽの先までが約1メートル、体重35キロ前後に成長し、かまれると大けがをする可能性もある。

 食欲も旺盛で、捕獲されたカミツキガメの胃からは鳥や水草、魚などが見つかった。生態系への悪影響を懸念した環境省は2005年、輸入や飼育を原則禁止する「特定外来生物」に指定した。

◆いたちごっこ
 産卵場所となる土手が岸辺に多く残り、繁殖の環境が整う印旛沼水系。県は04~05年度の調査で、全国最多の約千匹の生息を確認した。周辺では子どもがかまれたり、漁網が切られたりする被害が報告され、07年度以降、県は本格的な捕獲に着手し、これまでに計約3千匹を捕らえた。

 しかし、長時間動かずに水の中で身を潜める習性があり、わなにかからないことも多い。一度に20~30個程度を産卵するなど繁殖力が強く、漁協関係者は「捕まえても数が減らない。まるでいたちごっこだ」と嘆く。

 県は「繁殖防止には元から断つのが効果的」(自然保護課)として、産卵がピークの6月に、集中して卵の回収作業を進めるが、広範囲に分布して発見が難しく、人手の確保も難しいという。

◆繁殖地拡大か
 近年の研究で、静岡県の狩野川水系でカミツキガメが繁殖していることが判明。東京・上野の不忍池などでも目撃され、環境省は「各地に繁殖地が広がっているのではないか」とみる。

 ただ、静岡県の担当者は「農作物を荒らすアライグマなど別の外来種の対策に追われ、手が回らない」と打ち明ける。生息状況や被害の詳細がつかめない中、対応に苦慮する自治体も多い。

 カミツキガメに詳しい静岡大の加藤英明講師(保全生物学)は「目に見えて増えてきた時には、生態系に相当な被害が出ている疑いがある。行政は喫緊の課題ととらえ、早急に実態把握を進めるべきだ」と強調する。