被告に懲役20年求刑 検察側「あまりに身勝手」 市川女性刺殺論告求刑公判

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 市川市のJR本八幡駅近くの歩道で昨年11月、同市の無職、湯浅栞さん=当時(22)=が刺殺された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた元交際相手の住所不定、無職、岡逸人被告(24)に対する裁判員裁判の論告求刑公判が22日、千葉地裁(佐々木一夫裁判長)であった。検察側は「あまりにも短絡的で身勝手な考え方に基づく残忍な犯行」として懲役20年を求刑。弁護側は「真摯(しんし)に反省している」として懲役11年が相当とした。判決は26日に言い渡される。

 検察側は論告で、岡被告が湯浅さんと復縁できず、湯浅さんの長女(3)との再会もかなわなかったことに加え、自身の家族からも交際をめぐり注意された不満を湯浅さんへの憎しみに変えて殺害を決意したと経緯を説明。「自分の思いに相手が従うはずという、ストーカーに共通の心理。長女の面前でちゅうちょなく強く突き刺しており非人間的行為だ」と指摘した。

 遺族の代理人弁護士は「長女へ真の愛情があるならば、目の前で母親を刺すなどできるわけがない。単なる執着」と非難。公判中の供述も自己の正当化に終始しているとして「自己愛や救いようのない未熟さがある。可能な限り重い刑を」と意見を述べた。

 弁護側は最終弁論で「事件の2か月半前まで湯浅さんらと同居し、仕事や育児に一生懸命取り組んでいた。経緯には同情の余地がある」と主張。「犯行時、心理的に追い詰められ、我が子のようにかわいがっていた長女が視界に入らないほど、冷静さを失っていた」などと情状酌量を求めた。

 岡被告は最終意見陳述では「被害者や遺族にご迷惑をおかけしたことをこの場を借りておわびする。ちゃんと罪を償って、もし(刑務所を)出られるなら賠償したい」と声を震わせた。

 起訴状によると、岡被告は昨年11月27日午後4時半すぎ、市川市八幡2の歩道で、ペティナイフ(刃渡り約12センチ)で湯浅さんの右側腹部を刺し、殺害したなどとされる。

◆「殺してやりたい」 両親、感情あらわに
 湯浅さんの両親は、被害者参加制度を利用して意見陳述した。父親は岡被告に対し「許されるなら、私の手で殺してやりたい」と語気を強め、母親も「一生刑務所で暮らしてほしい。(犯行日の)11月27日がこの世からなくなればいい」と感情をあらわにした。

 母親は「娘はきょうだい3人でよく遊び、おじいちゃんのことが大好きだった」と湯浅さんの生い立ちを振り返り「長女を一生懸命育て、若いのに頑張っている自慢の娘だった。もう一度会い、抱きしめたい」と声を詰まらせた。