風を呼吸する夕暮れ カマドの煙 絵・文 道塚元嘉 【民家の四季】

 外に出るといつのまにか夕映えの空。刻々に変現する虚空の色彩は、分厚い茅葺屋根を美しく染めていく。茅葺屋根がうれしいのは、なんといっても自然の茅のにおいと草の感触が心をうるおすからだ。冷たい風にのってほんの瞬間、感じるにおいはことのほか好きであった。その草屋根の煙出しから立ちのぼるかぐわしい白煙のにおいも、いま ・・・

【残り 1393文字、写真 1 枚】



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