いのちの時間2 第1話(中) 作・相羽亜季実

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「いやあ、大したもんだ」

 男性客二人が店を出るやいなや、常連のイソノが両手を打った。

「さっきの客の顔ったらないね。まるで手品を見てるみたいだったよ」

 くつくつと笑い出すイソノに、

「無理もないよ。俺だって最初は驚いたもの。いや、今だってついつい見入っちゃったよ」

 やはり常連であるシバタが大仰に手を振る。

「本当は見えてるのかなって思っちゃうよ。小銭はまだわかるけどさ、お札はどうやってわかるの?」

 カウンターに戻ったひ ・・・

【残り 2099文字】



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