東京都のXポスト「謎主張」と痛烈批判 "偏在なし"主張に熊谷・千葉県知事、Xで言及 千葉市の神谷市長も苦言

東京都の主張に反論する千葉県の熊谷俊人知事の投稿文
東京都の主張に反論する千葉県の熊谷俊人知事の投稿文

 千葉県の熊谷俊人知事は12日、東京都のX(旧ツイッター)公式アカウントが「年間1・5兆円もの都税が都民のために使われず、全国に分配されているってホント!?」などと投稿し話題になった内容にXで言及し、「国民の誤解を招きかねない謎主張を外に向かって積極的に広めようとしている」と都の主張を批判した。千葉市の神谷俊一市長も「税が奪われるのではなく、偏在を是正するもの」などと苦言を呈した。

 都は9日のX投稿で「人口1人当たりの一般財源額でみれば、都は全国平均と同水準であり、是正すべき『偏在』は存在しない」などと主張。自治体間の財源の不均衡を調整するため、国が実施する地方交付税の偏在是正措置を批判した。

 こうした主張に対し熊谷知事は「人口密度が高い自治体ほど行政効率が良いため、(千葉などを含む)都市圏の県は1人当たりの一般財源が低くなる」と説明し、都の「『偏在』は存在しない」とする主張を否定。「行政関係者であれば一瞥(いちべつ)もしないレベルの主張」とした。

 こうした応酬はネット上で議論を呼んだ。「行政効率が最も良いはずの東京で1人当たりの一般財源額が『全国平均並み』というのは、財源が突出している裏付け」「東京に本社を置き税金を納める企業でも、業務実態は地方にあるケースが多い」など熊谷知事を支持する投稿がみられた一方、「都税が都民のために使えないのはおかしいというのも一理ある」「『東京の金を地方にもよこせ』と言っているように聞こえる」などと都側の主張を支持する投稿もあった。

 熊谷知事は「(千葉県など)都市圏の自治体は本社が多く税収に恵まれている一方、行政効率の高さから1人当たりの一般財源額は低く調整されている」とした上で「私たちは『なぜ稼いでいる千葉県は他県よりも一般財源が少なくなるのだ』と不満を言ったことはありません」と述べ、理解を呼びかけた。

 東京都のXでの主張に関連し、千葉市の神谷市長は12日、記者団に対し「(是正措置は)税の帰属を適正化する取り組みと思っている」との認識を示した。

 神谷市長は「子育てや教育は本来、どこに住んでいても同じサービスが受けられなければならない分野」とした上で、「(東京都では)そうした分野で圧倒的に有利な支援策が設けられており、社会の分断、不公平感を招く」と主張した。

(田村理、大村慧)


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