大網白里市議会初 車椅子の議員誕生 狭い通路、段差も多く バリアフリー化課題

3階の議場までにエレベーターはなく、階段では職員4人が車椅子を担ぎ上げて対応した=11日、大網白里市役所
3階の議場までにエレベーターはなく、階段では職員4人が車椅子を担ぎ上げて対応した=11日、大網白里市役所

 10日投開票された大網白里市議選で、車椅子を使う無所属新人の林正清子(はやし・さきこ)氏(65)が初当選した。車椅子の議員は同市で初、県内でも珍しいという。ただ、議場がある市庁舎はエレベーターがない上に議席の周りも段差が多く、ほとんどバリアフリー化されていない。現状、改修の予定はなく、当面は職員が林氏を車椅子ごと担ぎ上げるなどして対応する。

(東金支局長・堀井研作)

 林氏は1978年に長男を出産後、関節リウマチを発症。徐々に手足が不自由になり、3年ほど前から完全に車椅子生活になったという。知的障害がある次男への対応などを通じて福祉団体を発足したり、市内への施設の誘致活動も展開。選挙戦では「誰もが楽しく暮らせるまちづくり」を掲げ727票を獲得、定数18の最下位当選を果たした。

 議場は72年に建設された市庁舎の3階。建物内は通路は狭く、段差が多い。男子トイレの車椅子仕様や正面入り口のスロープ、階段の一部の手すりなどは当初なく、後から整備されたものだ。議員席があるエリアも約10センチの段差がいくつもある。当選後、議場を見学した林氏は3階まで男性職員4人に車椅子ごと担いでもらった。

 安川一省議会事務局長は、動線にある段差にスロープをつけたり、議員席の一部の椅子を取り外す案を打診したところ、林氏は「スロープはホームセンターなどにある安価なもので十分。あまり金をかけないで」などと応じていた。

 市は12月4日の定例市議会が始まるまでに議場の簡単なバリアフリー化を進める方針。安川局長は「車椅子だからといって公務が難しいという状況にはしたくない。安全性や費用対効果も含め何がどこまで必要か考えていく」とコメント。岡田憲二議長も「ここの議場は特に段差が多い。まず本人から要望を聞き取り、できる範囲でサポートしたい」と話した。

 市庁舎は雨漏りや壁の亀裂など老朽化が進み、市は改善の方法を検討中。ただ、エレベーターの設置などには大規模な改修が必要になるため堀江和彦総務課長は「財源的に建て替えは非現実的。現状ではバリアフリー化の方向性も明確になっていない」と話す。

 林氏は「エレベーターを付ける、付けないという単純な話ではなく、いろいろな立場の人がいることをみんなで考えることが必要」と指摘。「車椅子は体の一部。車椅子の議員がいても当たり前な社会になればいい。福祉にとらわれず、市全体がよくなるよう活動したい」と抱負を述べた。


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