注射不要な「粘膜ワクチン」開発進む 千葉大、世界初実用化へ ウイルス侵入を予防 常温で輸送・保存可に

未来粘膜ワクチンの説明をする中山俊憲学長(左)=東京都墨田区の千葉大学墨田キャンパス
未来粘膜ワクチンの説明をする中山俊憲学長(左)=東京都墨田区の千葉大学墨田キャンパス

 千葉大学は、注射不要なワクチン「未来粘膜ワクチン」の開発に力を入れている。粘膜ワクチンは、注射器を使わずに鼻に噴射したり、薬のように飲んだりして使用する。医療廃棄物となる注射針も出ず、冷蔵・冷凍保存が不要なことからインフラが整っていない途上国でも広く接種が可能に。同大は海外の大学とも協力し、世界初のワクチンの実用化を目指している。

 同大は、2016年から粘膜ワクチンの開発を強化。従来の注射するワクチンは、免疫をつけて重症化を防ぐものだが接種後に感染する場合もあり、感染を完全に防ぐことは難しい。一方で、粘膜から接種する粘膜ワクチンは、粘膜にも免疫を作り、ウイルスが侵入すること自体を防ぐ。

 また、植物由来の粘膜ワクチンは常温で輸送・保存が可能。温度管理の失敗による廃棄を防ぐほか、インフラが整っていない途上国などでも接種を行うことができるようになるといい、同大は「運搬や保存にかかるコストを抑えることができ、より多くの人がワクチンを打てる」と期待する。

 開発は、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校と協力。同校は消化器粘膜に、千葉大は呼吸器粘膜に関する研究実績が豊富で、互いの知見や技術をやり取りしながら開発研究を進めている。今年6月には、同大が開発を行ってきた「飲むワクチン」の安全性が立証され、注射のいらないワクチンの実現に向け一歩前進した形だ。

 自身も免疫学を専門とする中山俊憲学長は「海外の大学と互いに技術面でのやり取りも行い、単に新たなワクチンの開発を行うだけでなく、研究者の育成も進めている。世界に冠たる大学を目指し、今後も研究を強化したい」と話した。


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