女性スポーツ選手の性的動画販売した会社員の男逮捕 名誉毀損容疑で全国初摘発 千葉県警

千葉西署に入る石上容疑者=21日午前7時5分ごろ、千葉西署
千葉西署に入る石上容疑者=21日午前7時5分ごろ、千葉西署
女性アスリートを対象とした盗撮動画などの販売による、名誉毀損被疑事件の証拠品=21日午前、千葉西署
女性アスリートを対象とした盗撮動画などの販売による、名誉毀損被疑事件の証拠品=21日午前、千葉西署

 女性スポーツ選手の下着が透けて見える動画をインターネットで販売し選手の名誉を傷つけたとして、県警は21日、名誉毀損(きそん)の疑いで市川市福栄2、会社員、石上浩志容疑者(57)を逮捕した。選手の画像や動画を、性的な意図を持って撮影したり拡散したりする行為は社会問題化しており、競技団体などが対策に乗り出している。県警によると、スポーツ選手の性的画像問題を巡り、同容疑で摘発するのは全国で初めて。

 逮捕容疑は2018年11月20日~今年3月10日、20代の女性バレーボール選手の顔や下着が透けて見える動画をアダルト動画販売サイトで販売し、選手の名誉を傷つけた疑い。容疑を認めている。

 県警サイバー犯罪対策課によると、動画は試合前の準備運動や試合中の様子で、赤外線カメラで盗撮されたとみられる。約8分間に編集されており、1200円で販売していた。

 県警のサイバーパトロールで動画を確認。日本オリンピック委員会(JOC)の協力も得ながら捜査を進めた。

 容疑者は他にも女性選手の動画を販売しており、同サイトに出した約40本の性的動画のうち約30本が女性選手関連だった。他のサイトも含め、同課は15年以降で約600万円の売り上げがあったとみて、動画の入手先を調べている。

◆対策考えなくては 千葉県水泳連盟副会長

 スポーツ選手を狙った盗撮や性的画像の拡散問題に、県内のスポーツ団体も頭を悩ませている。県水泳連盟の加藤宗人副会長は「大会会場で盗撮をしている観客を見つけ、何度か通報したことがある。現在の大会は新型コロナの影響で無観客だが、観客が入るようになったら(対策を)考えなくてはならない。性的な目的で撮った写真でなくてもインターネットにアップされると、性的目的で利用する人がいる。スポーツ選手をそのような目で見てほしくない」と訴える。

 県スポーツ協会の前田啓一事務局長は「最近は性的目的の画像悪用をメディアが取り上げるようになり、世間の関心が高まっている。学生の大会は監視の目が行き届かない。関心が高まり一般の観客も周知に注意を向けるようになることが、被害の抑止力になってほしい」と話した。

◆被害撲滅、立件に壁 ネット普及伴い深刻化

 スポーツ選手を狙う盗撮や性的画像の拡散問題は、インターネットの普及に伴い深刻化してきた。東京五輪・パラリンピックの開幕が迫る中、警察は被害撲滅に向け取り締まりに力を入れるが、選手側の負担など立件には壁もあり、法整備の必要性も指摘されている。

 性的画像問題は遅くとも20年以上前からあったとされる。選手の心を深く傷つけ、競技に集中できなくなることもあり、日本オリンピック委員会(JOC)などは昨年11月、被害撲滅に取り組む共同声明を発表した。

 盗撮行為は刑法で規定されておらず、都道府県ごとに迷惑防止条例が適用される。だが取り締まりの対象は衣服で隠された体や下着を撮影する行為で、ユニホーム姿がそれに該当するかの判断は難しく、罰則も軽い。

 警視庁は5月、テレビ局が放送した選手の画像を無断転載したとして、著作権法違反容疑でサイト運営者を逮捕。選手でなくテレビ局を被害者とする「間接的」な手法で立件にこぎ着けた。

 今回千葉県警が適用したのは選手本人を被害者とする刑法の名誉毀損(きそん)容疑。ただ、同罪は被害者による告訴が必要で、選手にとっては被害を説明しなければならなかったり練習時間が割かれたりといった負担がある。

 海外では盗撮に厳しい罰則事例があり、刑法に「盗撮罪」を盛り込む議論なども出ている。


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