ランナー落胆「走りたかった」 旭、震災継承の火は消えず 千葉県内聖火リレー中止

市役所の展示コーナーそばで聖火リレー中止を知らせる掲示。もともとルート図や日程を掲示していた=27日、銚子市役所
市役所の展示コーナーそばで聖火リレー中止を知らせる掲示。もともとルート図や日程を掲示していた=27日、銚子市役所

 千葉県内での東京五輪・聖火リレーの走行中止が正式に発表された27日、準備を進めてきたランナーは「一生に一度のこと。走りたかった」「とても残念」と肩を落とした。東日本大震災からの“復興五輪”とも称された世紀の祭典。津波被害の記憶継承に取り組んできた旭市のランナーは落胆しつつも「中止に左右されず、活動は続けたい」と変わらぬ意欲を語った。

 旭市のランナー、戸井穣さん(76)は、空き地などを花で彩り被災地を明るくする住民団体の代表を務め、リレーのルート沿いで花壇を整備するなど準備を進めてきた。「コロナがまん延している状況を考えれば仕方ない。人の生命の方が大事。ただ、準備してきた方としては残念」と声を落とした。

 震災の記憶継承に取り組む若者らの団体「トリプルアイプロジェクト」代表で同市在住の大木沙織さん(25)は、母校の市立飯岡中学校の在校生・卒業生の計10人で走るグループランナーを務める予定だった。

 大木さんは「仕方ない。楽しみにしていた部分もあったが…」と受け止め、「今回の中止に左右されず、できる範囲で地域のためにトリプルアイの活動を続けられたら」と前を向いた。

 サーフィン強化指定選手で、競技会場となる一宮町に住む軽部太氣さん(22)は「聖火リレーを走れるのは一生に一度しかないと思う。残念だが、今の感染状況を考えると仕方がない。」と複雑そう。

 1976年モントリオール五輪の女子バレーボールで金メダルを獲得した館山市の田村(旧姓前田)悦智子さん(69)は、2019年9月の房総半島台風で被災した南房総市内を走る予定だった。「準備してくれていた人たちのことを思うと残念」。それでも、台風被害やコロナ禍の影響を受けた人たちに向け「どんな苦境に追い込まれても、夢をもって前向きに突き進んでほしい」との気持ちを伝えるため、点火セレモニーには出席する考えだ。

 テニスの全英オープンでダブルス優勝の経験がある柏市の吉田(旧姓沢松)和子さん(70)=吉田記念テニス研修センター評議員会長=は「残念だが、感染拡大防止が最優先課題なので決断を尊重する。7月3日に松戸中央公園で実施予定のトーチリレーでは、多くの方がつないで来た気持ちを私もしっかりとつなぎたい」とコメントした。


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