<原発処理水、海洋放出へ>千葉県内漁業者は反発 「風評被害怖い」「次世代への影響心配」

銚子漁港
銚子漁港

 東京電力福島第1原発で汚染水を浄化した後の「処理水」について、政府が海洋放出の方針を固めたことが報じられ、千葉県内の漁業者からは「風評被害が怖い」「影響が分からない」などと不安の声が噴出した。

 「風評被害が一番怖い。コロナで魚価が低迷しているのにやめてほしい」。そう反発するのは勝浦漁協の石井春人組合長(71)。

 勝浦で水揚げされたビンチョウマグロは加工品にするためタイヘ輸出されているが、原発事故後しばらく輸出が止まった。「今も日本の魚に抵抗感を持つ国がある。海外から見れば福島も千葉も違いはない」と再びの規制を強く懸念する。

 銚子漁港の買受人組織が構成する「銚子水産流通業組合連合会」(銚子市)の宮内隆会長(69)も風評被害を恐れる。「海洋放出するのであれば『安心・安全』との国民の納得が得られた上で行ってもらいたい」とした。

 銚子市沖に漁に出ている20代後半の男性は「5年、10年後の影響が分からない。次世代への健康面も心配」とした。

 熊谷俊人知事は8日の定例記者会見で「安全性を含め、県民が必要とする情報を分かりやすく発信することを政府に求める」と強調した。

◇福島第1原発の処理水 東京電力福島第1原発1~3号機では事故で溶けた核燃料への注水や、流入する地下水、雨水で大量の汚染水が発生。多核種除去設備(ALPS)で浄化し処理水として敷地内でタンクに保管している。技術的に除去できない放射性物質トリチウムが含まれているが、人体への影響は比較的小さいとされる。


  • 東京電力福島第1原発の敷地内に林立する、処理水などを保管するタンク(手前)=1月(共同通信社ヘリから)
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