「GoToトラベル」4連休スタート 千葉県内の宿泊施設に“期待と困惑”

「季粋の宿 紋屋」では、フロントに透明のビニールシートや消毒用アルコールを設置。入館前に車内で検温をしてもらうなど、水際対策を徹底している=22日、南房総市白浜町
「季粋の宿 紋屋」では、フロントに透明のビニールシートや消毒用アルコールを設置。入館前に車内で検温をしてもらうなど、水際対策を徹底している=22日、南房総市白浜町

 新型コロナウイルスの影響で苦境に立つ観光業界を支援する事業「Go To トラベル」キャンペーンが始まり、初の休日となった23日。4連休の初日も迎え、千葉県内の宿泊施設では万全の感染防止対策で旅行客を受け入れていた。宿泊施設の担当者は「一筋の光」とキャンペーンの効果に期待しつつ、直前に見直しのあった事業に困惑し、詳しい情報を求める声も出た。

◆収束待っては観光死ぬ

 香取市佐原地区の古民家を改修したホテル「佐原商家町ホテルNIPPONIA(ニッポニア)」では、4連休は既に満室で約50組が宿泊予定。吉田覚支配人は「もともとは東京からのお客さまが多かったが、今は7割ほどが県の西部から。まずは近場の旅行からという意識があるのでは」と分析した。4、5月の営業は「壊滅状態」だったが、6月から県民向けの割引プランを始め、徐々に客足が戻ってきたという。

 キャンペーンについて、吉田支配人は「なぜこの時期にやるのかという声もあるが、われわれにとっては一筋の光。収束を待っていては観光業界は死んでしまう」。一方、いまだにキャンペーンの詳細が周知されていないことに戸惑いがあるといい「お客さまへの説明が十分にできない。情報がほしい」と注文を付けた。

 ホテルでは感染防止対策を徹底しており、吉田支配人は「うちは1棟貸しの部屋が多いため人と人との接触が少ない。安心して利用してもらいたい」と話した。

◆連休の予約スカスカに

 太平洋に面し、灯台や温泉が魅力の銚子市犬吠埼。市旅館ホテル組合長の梅津佳弘さん(56)によると、犬吠埼周辺の5宿泊施設では、16日からの約1週間で少なくとも600人のキャンセルがあった。梅津さんは「半数以上が東京都内からの観光客だったのではないか」とした上で「連休や、お盆の時期の予約がスカスカになった」と嘆いた。

 犬吠埼灯台近くの「絶景の宿 犬吠埼ホテル」の総支配人を務める梅津さんは「感染対策を徹底し、お客さまを迎えている。県内や近場の方々にも、地元の良さを見直す契機としてぜひ利用してほしい」と訴えた。

◆東京の人、断りはしない

 南房総市千倉町の老舗旅館「魚拓荘鈴木屋」では、年間宿泊者の約3割が東京からの旅行者で、連休中も都内から宿泊客が訪れる予定だ。4代目の鈴木健史さん(59)は「東京の人だからといって断りはしない。密を避け、宿泊当日も体調を確認して来てほしい」と呼び掛ける。

 ただ、事業内容についてはいまだ不明な点が多く「観光庁に何度問い合わせてもつながらない」と鈴木さん。「東京の人かどうかを確認する必要があるのか分からない。細かい制度設計をせずに始めたから、きっとこれからトラブルが出てくる」と指摘した。

◆再拡大で「ジェットコースター状態」

 「大きな産業がない地方の町にとって、観光業は地域への経済波及効果がものすごく大きい業種。地域としてはありがたく、基本的には歓迎」。同市白浜町にある「季粋の宿 紋屋」の4代目、高尾憲資さん(64)はキャンペーンに期待している。

 昨秋の台風では、2階の屋根が吹き飛ぶなど深刻な被害を受けた。今年2月にほぼ全ての改修を終え、客足が回復していたものの、コロナ禍で再び休業に追い込まれた。

 感染拡大が落ち着き、夏の観光シーズンへ向け予約が増え出した矢先、今度は東京都を中心に新型コロナが再拡大。キャンペーンで東京除外も決まり、高尾さんは「1日20件ほど入っていた予約がぴたっと止まり、逆にキャンセルが増えた。ジェットコースター状態」とため息をつく。

 例年首都圏を中心に多くの家族連れが訪れ、宿泊者のうち約3割は東京からの予約客だ。二転三転する政府の方針に、観光客から戸惑いの声も上がっているという。高尾さんは「東京の人から『泊まりに行ってもいいのか』という問い合わせをよく受ける。われわれはガイドラインに基づいた予防対策を施しているので、うつさない行動を取った上で来てもらえれば」と話した。


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