新型コロナウイルス情報

日常接触回避難しく 物資も不足、対策限界 東庄・障害者施設集団感染

北総育成園の周囲は28日に続いてひっそりとし、時折、車や人が出入りした=29日、東庄町
北総育成園の周囲は28日に続いてひっそりとし、時折、車や人が出入りした=29日、東庄町

 新型コロナウイルスの集団感染が起きた東庄町の障害者福祉施設「北総育成園」では、重い障害のある入所者もいて、介護や食事などで日常的に人と人の接触が必要という事情が背景にある。障害者、高齢者を含め福祉施設の感染は全国で発生。マスクや消毒液が不足し、予防対策も不十分で現場の福祉関係者からは「もう限界。集団感染は人ごとではない」と悲鳴が上がる。

 「脅威を感じた。まさか、これほどの人数とは」。集団感染が発覚した28日、北総育成園の設置主体である船橋市の松戸徹市長は記者会見で厳しい表情で語った。

 同園では27日に40代女性職員の感染を初めて確認した。28、29日に入所者や職員、職員の家族らを検査し、計86人の陽性が判明した。

 園は1974年に開設。船橋市などの知的障害者を受け入れる施設で、同市の委託を受けた社会福祉法人が運営。入所者は普段個室で生活するが、食事の際は少人数で集まり、自立訓練のため日常的に数人のグループで農耕や園芸を行う。

 配膳やケアの時には、職員が密接に対応し「人同士の接触機会は多かった」(千葉県担当者)という。また市は別の要因として「障害が重く、マスクをするのを嫌がる人や、症状が出ても言葉にするのが難しい人もいたのではないか」と推測する。

 感染予防のため、園ではドアノブなど各所をアルコール消毒する対策を取っていたが、マスクは不足し、職員は常時着用できない状況だった。

 同園に限らず、福祉施設の物資不足は深刻だ。県内で複数の特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人の幹部は「どの施設もマスクや消毒液が足りず対策が十分にできていない。いつ集団感染が起きてもおかしくない」と危機感を示す。

 既に福祉施設を巡っては、名古屋市のデイサービス施設が介在したクラスター(感染者集団)の発生や、兵庫県伊丹市の介護施設利用者らの感染が起きた。各地では施設入所者と家族の面会を制限したり、職員を含めた検温を徹底したりする対策がなされているが、懸念は消えない。

 淑徳大の結城康博教授(社会福祉学)は「水際の対策を徹底する一方、集団感染した場合に備え、例えば施設のワンフロアを感染者の隔離場所として病院代わりに使えるような準備を進め、高齢者や障害者の心身面に悪影響が出ないような備えを各施設で整えるべきだ」と話した。

 北総育成園の近くでは、新型コロナウイルスの集団感染発生に、住民から不安の声が漏れた。マスク姿の無職女性(72)は「かなりの人数が感染したと聞いた。広い範囲で影響が出たらどうしよう」と心配そうに話した。


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