児童虐待見過ごさない 体制強化し通告2.4倍 人員増、組織間の連携密に 野田市

子ども家庭総合支援課で協議する職員=野田市役所
子ども家庭総合支援課で協議する職員=野田市役所
子ども家庭総合支援課(左)と教育現場を担当する市教委指導課(右)は通路を挟み、向かい合わせになっている
子ども家庭総合支援課(左)と教育現場を担当する市教委指導課(右)は通路を挟み、向かい合わせになっている

 野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が自宅で死亡した虐待事件を踏まえ、野田市は担当部署の人員増や関係機関との連携を強化し再発防止に取り組んでいる。この1年間「支援の目から見落とさない」との方針で臨んだ結果、市に寄せられる児童虐待に関する通告の受理件数は2・4倍と大幅に増えた。

(柏松戸支局長・伊藤幸司)

 市によると、通告受理件数は2018年4~12月に145件だったのが、19年4~12月は345件と200件増えた。虐待を受けている「要保護」や、受ける恐れのある「要支援」と市が認め、援助対象とする子どもの数は19年2月1日の166人に対し、今年2月1日は450人超と、こちらも2倍超に増えた。

 援助対象は小学校低学年が多く、子どもが学校や幼稚園などの教職員に被害を訴えることで判明する場合が最多だった。

 「心愛ちゃんが頼れる大人が一人でもいたら、救えたはず」。市の児童虐待事件再発防止合同委員会が1月に公表した報告書は、市をはじめ公的機関の対応の問題点を指摘。「子どもを守り通す組織」を改めて求めた。

 市は当時の担当部署、児童家庭課児童相談係に6人しか配置していなかった反省を踏まえ、体制強化に乗り出し、昨年10月、26人体制の子ども家庭総合支援課を新たに発足させた。

 この中には臨床心理士などの専門職もおり、保健師が学校の健診時に聞き取りしたり、幼稚園を見回る際に傷跡を確認したりするほか、保護者に精神疾患のある場合に精神保健福祉士が対応している。

 学校や幼稚園の巡回には家庭児童相談員に臨床心理士や保健師も同行。信頼関係の構築を主眼に置き、児童らに「守ってあげるから安心して話して」と呼び掛けている。

 閉鎖性が指摘された教育委員会との連携を密にするため、同課は学校現場に関わる市教委指導課の向かい側に配置した。

 指導課内に市長部局の職員4人による分室を設け、学校などを定期的に訪問している。保護者との関係悪化などを恐れ、これまでは気付いたことを言い出せずにいた教員が相談を上げやすくなったという。

 援助が必要な子どもについて、関係機関の情報共有や役割分担を決める要保護児童対策地域協議会の運営も見直した。支援策の充実を協議する「実務者会議」では毎月1回丸1日かけ50~60件の援助方針を見直している。事件前は人手不足で形骸化していた。

 具体的な支援内容を検討する「個別支援会議」を開きやすくするため、開催の必要性を判断するルールを設定。転校や保護者が変わる時などは必ず開くことにした。

 個別支援会議の開催回数は18年度まで1回に1案件にとどまっていたが、本年度(4~12月)は63回、161案件に増えた。

 地域から情報を上げてもらうため、市内8地区の民生委員の定例会に市職員が出向き情報交換した結果、事件以前はなかった民生委員からの通告も増えているという。

 子ども家庭総合支援課の須田光浩課長は「聞こえてきた泣き声や怒鳴り声が、実際は兄弟げんかだったとしても、重篤な事案を見過ごさないために情報提供を呼び掛けている」と話している。


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