3容疑者役割に謎 捜査本部、全容解明へ 富津保険金殺人逮捕1週間

宍倉拓也さんが突き落とされたとみられる岸壁=8月29日、富津市金谷
宍倉拓也さんが突き落とされたとみられる岸壁=8月29日、富津市金谷

 富津市の港で1月、千葉市若葉区の内装工、宍倉拓也さん=当時(23)=が溺死した状態で見つかった殺人事件は4日、養父ら男3人の逮捕から1週間が経過した。殺害の目的は拓也さんに掛けられた多額の生命保険金で、周到に計画を立てて犯行に及んだとみられるが、役割分担などを巡っては3人の供述が食い違うなど謎も残される。「きちんとしていて優しかった」(近隣住民)という拓也さんはなぜ、若くして命を奪われてしまったのか。事件の全容解明が待たれる。

 富津署捜査本部などによると、事件は1月27日に発生。富津市金谷の浜金谷港付近で、「一緒に釣りをしていた人がいなくなった」と110番通報があり、木更津海上保安署などが捜索した結果、海底から拓也さんが引き揚げられ、現場で死亡が確認された。

 当初は水難事故とみられたが、不自然な点があることなどから県警が捜査を始め、拓也さんの保険契約に関する動きや交友関係などを確認。一方で関係先の家宅捜索や任意での事情聴取を進め、8月28日、岸壁から拓也さんを突き落として溺死させた殺人容疑で男3人を逮捕した。

 逮捕したのは拓也さんの勤務先の内装会社社長、宍倉靖雄容疑者(48)=八街市砂=と、同社の従業員だった彫師の佐中佑輔容疑者(31)=四街道市和良比、住所不定の内装工、金子栄司容疑者(50)。

 拓也さんは昨年8月、靖雄容疑者の養子になっており、いずれも靖雄容疑者を受取人とする生命保険が三つ掛けられていた。うち一つは昨年11月、受取人が母親から変更。残り二つは養子縁組後、新たに契約しており、捜査本部は計約5千万円の保険金を目当てに殺害に及んだとみている。

 3人は大筋で容疑を認めており、これまでの調べでそれぞれに借金があり、一部が「殺すつもりで釣りに誘い、連れて行った」と供述していたことが判明。一方、現場での役割分担などを巡っては3人の説明が合致しておらず、捜査本部が慎重に捜査を進めている。

 拓也さんの家族と10年近く近所付き合いをしていたという50代女性は、動物をかわいがる優しい若者だったと振り返り、「拓ちゃんがかわいそう」と悲しみを吐露。「金のために人の命を奪うのはひきょう」と保険金目的とされる犯行を非難し、事件の真相解明を願った。


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