亡き子へ「最後の贈り物」 船橋の住吉さん、ガラス仏具で悲しみ癒やす 短く輝いた命と絆包む

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住吉さんがデザインしたガラス仏具=船橋市
住吉さんがデザインしたガラス仏具=船橋市
空をモチーフにした赤ちゃん用の骨つぼ(中央)
空をモチーフにした赤ちゃん用の骨つぼ(中央)

 亡くなったわが子に最後の贈り物を-。ガラス仏具の店「Bee-S(ビース)」(船橋市海神6)を創業した住吉育代さん(41)は、幼くして亡くなった子や赤ちゃんのため、小さな骨つぼなどの仏具を製造・販売している。自身も生後8カ月の娘を亡くし、つらい思いをしてきたからこそ分かる「最後はすてきな贈り物を子どもに」という親の願い。短く輝いた命をいとおしむように、美しいガラス製の仏具が親子の絆を優しく包む。

(社会部・町香菜美)

 優しいピンクに水色、淡い緑…。思わずぎゅっと抱きしめたくなる丸みを帯びた形をしているのは、実は手のひらサイズの骨つぼ。墓に納めるためだけではなく、「遺骨をそばに置いておきたい」という思いに応えられるよう、小さくかわいらしいデザインとしたのが特徴。

 ガラス仏具を製造・販売するようになったのは、10年前に生後8カ月の長女、花彩(はいろ)ちゃんを亡くしたことがきっかけ。先天性の心臓病などを患っていたが手術し、「普通に生活できるようになる」と喜んでいた。ところが花彩ちゃんは、短い生涯を閉じた。

 「何もしてあげられなかった」。深い悲しみを抱きながらも、娘の骨つぼを探して仏具店をいくつも巡った。赤ちゃん用の骨つぼは少なく、小さいサイズを見つけても白いカバーをかけただけの質素なものしかなく、悲しみがこみ上げてきた。半年探しても見つからず、あきらめようとしていた。

 そんな時、学生時代にガラス店の工房で働いていたのを思い出した。友人にガラス作家がいたこともあり「自分で作ろう」と思い立った。

 夫と話し合いながら、ガラス仏具のデザインを考え、娘を思い出す時間が癒やしにもなった。完成した仏具を見つめ「自分たちのように困っている人がいるのでは」との思いで2010年、子ども用ガラス仏具などを扱う通販ショップ「Bee-S」を立ち上げた。

 およそ1年前には、船橋市内にショールームをオープン。現在は骨つぼだけでなく、花立てや香炉などガラス仏具の7点セットを取りそろえるようになった。

 値段は約3万円からで、展示販売もしているが、客からイメージを聞くオーダー制が基本。名前や足形を残すこともでき、骨つぼカバーも作った。「亡くなった幼い子や赤ちゃんに、かわいらしい最後の贈り物を」と願う親は少なくはなく、子ども用のガラス仏具を手にした客はおよそ千人に上る。

 住吉さんのコンセプトは「最後のプレゼント」。客は生まれて間もないわが子に「何もしてあげられなかった」と後悔しながら店に訪れる。「こんな色が好きかな。こんな柄が合うかな」。わが子のために悩む時間が客にとって幸せのひとときに。同時にオーダーを聞きながら、親たちのつらい思いも受け止める。同じ経験をした住吉さんだからこそできる心遣いだ。

 「プレゼントできて良かった」。世界にたった一つの骨つぼを手にした親から感謝され、ガラス仏具が悲しみを癒やす。「この仕事も娘がきっかけ。何もかも助けてもらっている。自慢の娘なんです」。母親の優しい笑みが浮かんだ。