転売か防止難しく 千葉県警、旭の無職男逮捕 鉄製ふた続く盗難

鉄製ふたを盗んだ疑いで逮捕され、送検される石毛稔容疑者=25日午前9時1分、旭署
鉄製ふたを盗んだ疑いで逮捕され、送検される石毛稔容疑者=25日午前9時1分、旭署
側溝などに設置され、盗難が多発しているグレーチング=千葉市内
側溝などに設置され、盗難が多発しているグレーチング=千葉市内

 千葉県内で、側溝の鉄製ふた「グレーチング」がなくなる事例が後を絶たない。昨年11、12月には北総・海匝地域を中心に少なくとも160枚以上が被害に遭うなど、昨年1年間の被害枚数は一昨年を大幅に上回った。旭市では計89枚盗まれ、被害額は100万円以上になる見込み。転売目的とみられ、担当者はあの手この手で防止策を講じているが「完全な対策は難しい」と頭を抱えている。

◆「生活費目的」

 県は昨年12月11日、香取市などの県道で鉄製ふた計12枚が盗まれたと発表した。同市や旭市などの北総・海匝地域では同年11月下旬以降、鉄製ふたの盗難が多発。同日の12枚を含め、判明しているだけで166枚が盗まれた。

 一般的な鉄製ふたは幅が約40センチ、長さは50センチほどで、重さは約18キロ。県によると、昨年に県管理の鉄製ふた盗難被害は102枚(被害総額約70万円)で、一昨年の6枚(約7万円)から大幅に増加した。ほとんどが人通りの少ない側溝から盗まれた。千葉日報社の調べでは昨年、市町管理の鉄製ふたは少なくとも計260枚以上が被害に遭っている。

 千葉県警は、昨年12月22、23日に旭市琴田の市道4カ所から鉄製ふた21枚を盗んだ疑いで、今月24日に同市入野、無職、石毛稔容疑者(24)を逮捕。「生活費目的だった」と話し、県内の金属くず買い取り業者に転売したとみられる。県警は同市や周辺で発生した同様の50件の窃盗被害についても関連を調べている。

◆海外に運ばれたか

 鉄製ふた盗難は転売目的の可能性があるが、買い取り業者では盗品の判断が難しく、通常の買い取りが行われるという。千葉市内の鉄スクラップ業者は「正直、盗品かどうかは見分けがつかない」と明かした。

 さらに、「こちらも商売なので、持って来たものは顧客のものと考えている。(客の)名前や住所、身分確認はするが仕入れ先はあまり根掘り葉掘り聞けない」と話す。鉄製ふたの盗難防止へは、買い取り業者の対応も課題となる。

 ただ、日本鉄リサイクル工業会によると、鉄製ふたの転売は「割がいい物ではない」と指摘する。スクラップ業者の買い取り価格は20キロの鉄製ふた1枚で千円に満たないという。「盗むリスクもあり、労力に合わない値段。海外に運ばれて二次使用されている可能性もあるのでは」とみる。県警によると、日本製の鉄や銅は中国など海外で買い取りが盛んで、価格が上昇しているという。

◆安全面でも課題

 鉄製ふたの設置現場からの盗難を防ぐため、県はパトロールを強化したり、くさびを打ち込んだりするなど対応。ただし、「側溝を清掃するため外す必要もあり、完全固定はできない」(担当者)と打ち明ける。すべての鉄製ふたを守りきるのは予算や手間がかかるため不可能。「鉄製ふたがなくなると(対応まで)歩行者らが落ちてけがする危険がある」(担当者)ため、安全面でも盗難防止が重要だが、有効な対策は見いだせない。

◆コンクリ製の盗難被害も 14枚640キロ「目的不明」

 鉄製ふたの盗難被害が相次ぐ中、昨年12月13日に、別の“側溝ふた盗難”事件も。富津市の県道の側溝から鉄製ふた2枚(計36キロ、1万5180円相当)に加えて、コンクリート製のふた(縦49センチ、横39センチ、厚さ10センチ)14枚が盗まれた。

 鉄製ふたの盗難は昨年11月下旬以降多発していたが、コンクリ製の盗難は「あまり聞かない」(県の担当者)。14枚で重さは約640キロに上るが、計1万6千円相当とグレーチング2枚の被害額と変わらず。担当者も「かなり運ぶのも大変では。目的が分からない」と何のために盗んだのか、不可解な事象に首をかしげた。


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