印西・睡眠導入剤混入事件 動機は?殺意の有無争点 准看護師の被告、13日初公判 

  • LINEで送る

 印西市の女が准看護師として勤務していた同市の老人ホームで2017年、睡眠導入剤を混ぜた飲み物を同僚職員に飲ませて交通事故死させるなどした事件で、男女6人に対する殺人や殺人未遂などの罪に問われた波田野愛子被告(72)の裁判員裁判の初公判が、13日午前10時から千葉地裁で始まる。殺意の有無が争点となり、動機の解明も焦点の一つだ。

◆6人が死傷

 波田野被告は、少なくとも同僚ら4人に睡眠剤を混入させた飲み物を飲ませ6人が死傷したとして、次の3事案で起訴された。

 (1)死亡するかもしれないと認識しながら17年2月5日、老人ホーム事務所で、同僚職員の山岡恵子さん=当時(60)=に睡眠剤数錠を入れたコーヒーを飲ませた。軽乗用車で帰宅した山岡さんに睡眠剤の影響で車と正面衝突事故を起こさせて殺害し、車の男性会社員(29)にもけがを負わせたとしている。

 (2)同5月15日にも交通事故を起こして死亡する可能性を認識しながら、同事務室で、同僚女性(70)と車で迎えにきた女性の夫(73)に睡眠剤入りのお茶を飲ませた。夫に車で衝突事故を起こさせ、夫婦と事故相手の男性(57)に重軽傷を負わせたとされる。

 (3)同6月8日には、同僚女性(39)に嫉妬して嫌がらせをしようと、同事務所で、女性が机の上に置いた飲み物に睡眠剤の溶液を入れて飲ませ、意識障害を伴う急性薬物中毒にさせたとしている。

 施設では事件前から、複数の職員が強い眠気や目まいを繰り返し訴えていた。急性薬物中毒の被害にあった女性職員が同6月15日になって、離席する際にスマートフォンで動画撮影したところ、被告が飲み物のふたを開けて白い液体を入れる様子などが写っていた。

◆未必の故意

 捜査関係者によると、被告は捜査段階で睡眠剤の混入を認める一方、「殺そうと思ったことはない」と殺意を否認。裁判でも同様の主張をするとみられる。

 亡くなった山岡さんは死亡事故の約2時間前、老人ホーム近くで運転する車が脱輪。体の不調を感じ、車の引き上げ作業中に施設に戻り休んでいたが、被告が帰宅を促したとされる。

 検察側は、准看護師として薬剤に詳しい立場を利用して「事故を起こして死んでも構わない」との未必の故意があったとみている。

◆真相解明を

 被告は複数の福祉施設で勤務した後、15年10月から同老人ホームで働くようになった。被告を知る人は人柄や仕事ぶりを「真面目で明るい」「面倒見が良い」とする。一方で、捜査関係者によると「一部の同僚をねたんでいた」という趣旨の供述をしており、職場や同僚に不満があったとされる。

 施設職員らは法廷での真相解明を望む。被告が飲み物に白い液体を混入する様子を撮影した女性は「何があったのか話してほしい」。夫婦で事故に遭った女性は「つらい事件で、より多くの人が亡くなっていたかも」と振り返った。

 被告人質問は16、19日。論告求刑と弁論を21日に行う予定で、判決は12月4日に言い渡される。