「嫌がらせ受けた」供述 一方的に恨みか 波田野容疑者送検 睡眠導入剤混入

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老人ホームの事務室にある波田野愛子容疑者の机=11日、印西市
殺人未遂容疑で送検される波田野容疑者=13日午前9時17分、千葉県警本部

 印西市の老人ホームの睡眠導入剤混入事件で、殺人未遂などの疑いで逮捕された准看護師、波田野愛子容疑者(71)が「施設内で嫌がらせを受けていた」「一部の同僚をねたんでいた」という趣旨の供述をしていることが13日、捜査関係者への取材で分かった。4月以降、施設内でめまいや眠気、足元のふらつきといった症状を訴えた職員は5人に上ることも判明。千葉県警は波田野容疑者が一方的に恨みや被害感情を募らせ、混入を繰り返していた可能性もあるとみて捜査する。

 一方、波田野容疑者が飲み物に液体を混ぜる様子を、30代の女性職員が6月15日に撮影していたことも捜査関係者への取材で分かった。撮影動画とともに飲み物が県警に提出され、睡眠導入剤の成分が検出された。動画には女性職員が席を離れた際、容疑者が飲み物のふたを開けて白い液体を混入。一度その場を離れ、戻った後に飲み物を振る様子が写っていた。

 捜査関係者らによると、老人ホームは職員15人前後で入居者約50人。波田野容疑者は5月15日に女性職員(69)とその夫(71)に睡眠導入剤入りのお茶を飲ませ、交通事故を起こさせた殺人未遂容疑と、動画撮影した女性職員に6月中旬、同様の飲み物を飲ませた傷害容疑で立件されている。

 撮影の女性は急性薬物中毒になり、意識を失うこともあった。容疑者に症状を訴えると「普段よりも多めに水分を取った方がいい」と助言されたという。県警は混入を続けながら、医療や薬剤に比較的詳しい立場を利用して、発覚しないよう取り繕っていた疑いもあるとみて調べている。

 4月以降、他に職員3人がめまいや眠気などを訴えた。さらに2月には別の女性職員=当時(60)=が帰宅途中、運転中の交通事故で死亡しており、関連を調べている。県警は13日、波田野容疑者を送検した。

◆短期間で勤務先転々 一部では軽微なトラブル

 波田野容疑者は勤務先を短期間で転々とし、一部では同僚と軽微な職場トラブルを起こしていたことが分かった。

 印西市内の特別養護老人ホームには2000年9月~02年7月まで2年弱勤務。波田野容疑者を知る女性職員によると、職員募集をしたところ応募してきたという。

 退職する際は「一身上の都合ということで、円満退職だった。次の勤務先が見つかったのだと思う」。同ホームの前後にも市内の特養施設などに数カ月単位で勤めたといい、「あちこちを転々としていた」と話した。

 知人も「(波田野容疑者は)退職金が欲しくて転々としていると聞いた」などと証言。「10円でも待遇の良い勤務先に職員が転職することは、この業界では珍しくない」(女性職員)という。

 ただ「仕事はきちんとしていた。欠勤もなかった。現場のたたき上げで知識があり、介護職員からも信頼されていた」と評価。「なんであんなことをしたのか」と残念がった。一方で「特定の職員にだけ弁当を作るなど“えこひいき”をして、他の看護師から指摘を受けてやめるように注意したことがあった」(同)という。

 波田野容疑者はちょうど1年ほど前に、在職証明書が欲しいと来所。今回混入事件があった施設に勤めていると明かして「年配者が多い」と話すなど、特に変わった様子はなかったという。