2022年5月25日 16:45 | 有料記事
吹奏楽部に受け継がれる「市船soul」が県外で初めて演奏された=栃木県の宇都宮清原球場
「市船soul」を作曲した浅野大義さん(船橋市立船橋高校提供)
「ソウルー!」。野球部がチャンスを迎えるたびに、スタンドの吹奏楽部員がある「特別な曲」の演奏準備を始める―。春季関東地区高校野球大会の会場、宇都宮清原球場(栃木県)で今月22日、船橋市立船橋高校吹奏楽部に受け継がれる“魂の応援曲”が、千葉県外で初めて演奏された。
新型コロナウイルスの影響で、部員にとってはこれが初めての野球応援。ため込んだ気持ちを解放するように、打楽器が軽快な音を鳴らし、金管楽器が心を震わせる短調のメロディーを奏でる。曲の名は「市船soul(いちふなソウル)」。2017年にがんのため20歳で早世した同部OB、浅野大義(たいぎ)さんが、愛する母校に遺した「神応援曲」だ。(デジタル編集部・塚越渉)
同部顧問の高橋健一教諭(61)は、高校3年生だった浅野さんが、市船ソウルの原曲の譜面を音楽準備室に持ってきたことを今でも鮮明に覚えている。応援に適した短調のメロディー。光るものを感じたが、長すぎると思った。
「楽譜を4枚も持ってきた。応援曲では金管楽器を吹き続けるので、演奏者が疲れてしまう。大義もトロンボーン奏者。休める部分も必要」。黒のフェルトペンで楽譜の中間にバツ印を書き、よりシンプルな構成を提案した。
そうして生まれたのが、〈ソシソシドシドレ、ファー、ソーレファソ、ファ、ミファミレー〉という6小節のメロディーの後に「攻めろ!守れ!決めろ!市船!」の掛け声が続く応 ・・・
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