
2012年3月に“地上に降臨”してから今月で10年を迎えた船橋市非公認のご当地キャラクター「ふなっしー」。当初は「不審者扱い」だったのに、従来のキャラクターにはない強烈な個性が幅広く支持されて、自身でも驚くほど息の長い活動が続いている。それにしても、なぜここまで根強い人気を集めたのだろう?ふなっしーが千葉日報社のインタビューに応じ、10年の足跡を振り返りながら、「物語」「みんな分かってて騙されてる」といったキーワードを交えながら、人気を得た理由を分析した。(デジタル編集部・平口亜土)
◆「不審者扱い」からブレーク
―この10年を振り返ると率直にどうでしょう。
あっという間だったなっしー。もう10年経ったんだなと。目まぐるしくいろんなことが起きましたなっしな。10年たって、まだこの地上にいられるのはうれしいなっし。それだけ応援してくださる方がいるということなので感謝しかありませんなっし。
―これだけの人気者となり、それが長く続いている理由を自身でどのように考察していますか。
ふなっしーの黎明期、名もないころから応援していただいてる方が結構な人数いらっしゃいますなっし。また、途中から入ってきた人も、ふなっしーが大きなスポンサーや企業、テレビ局や広告代理店が絡んでるわけでもない、いわゆる「野良状態」からフッてわいてきて、バッと火が付いてドンドン有名になっていく。その姿を一つの「物語」として応援していただいているのかなと思うなっし。
何の後ろ盾もないままドンドンみんなの応援だけで人気者になって、武道館ライブまでやってしまうというところに、皆さん共感していただいているのかなって思うなっしな。
―そういったキャラクターってなかなかいないですよね。
いままで世に出たキャラクターでそんなケースはおそらくいないなっしな。「くまモン」にしても、広告代理店がついて、しっかり熊本県の予算を使って動いていますなっし。基本的にご当地キャラってそういうものだと思うので。こういうポッと出でブレークするというのは多分ないんじゃないかなと思うなっしな。
―最初、船橋市に公認を求めていましたが、「物語」という面では、市の公認を得られなかったことも物語性があったのではないでしょうか。
確かに最初のスタートはとにかく「不審者扱い」だったなっしな。だからみんなも「よくぞ」と思ったでしょうね。どんな立場からでも頑張れば日の目を見るという意味で、物語があったと思うし、皆さんの励みになったと思うなっし。
◆千葉のPR続けるなっしー

-ふなっしーと言えばしゃべるのも特徴ですが、初期の頃からしゃべっていたんですか。
そうなしな。そもそも、しゃべる理由がふなっしーを紹介してくれる人がいなかったからで。普通はアテンドの人が付いてキャラクターについて説明してくれるんだけど。ふなっしーは1匹でやってたので、自分でしゃべるほか自分を紹介する手だてがなかったなっしー。
でも、そもそもしゃべること自体がご当地キャラでは「ご法度」だったらしく、それがまた珍しがられたというところもあるなっしな。お客さんにとって、キャラクターとコミュニケーションが取れるというのはうれしかったんでしょうね。
-ところで、ふなっしーと言えば「中の人」をほのめかしたりするじゃないですか。
そんなことないなっしよ! 中の人なんていないなっし!
-そうなんですけど。背中のチャックに言及してみたりとか、そういったところも魅力なのかなと拝察しておりまして。他のキャラにはない部分ですよね。
まあ、「イタコ」みたいなもんです。梨の妖精の魂を呼び出してるだけなんです。
-その辺のご当地キャラの「タブー」めいた部分を許容するところも独特の物語じゃないですか。
ある意味、「チラリズム」的な部分はあるかもしれませんなっしなー。皆さん興味を持ちたがりますからね。別にそれはそれでいいのかなと思いますなっし。ただ、自身はそこをことさらアピールすることもないなっしなー。あくまでもふなっしーは梨の妖精ですなっし。
まあ、手品みたいなもんかもしれないなっしな。手品って「種も仕掛けもありません」っていいますけど、そんなことないじゃないですかなっし。でも、種も仕掛けも説明しながらやられたらすごい白けるじゃないですか。
-確かにそうですね。
だから、みんな「分かっててだまされてる」んです。それはいわゆる「ファンタジー」だと思いますなっし。
やっぱりなんの物語でも、核心的な部分に触れてしまうと白けてしまう。みんな分かっててだまされつつ、物語をつないでいるんじゃないかなと思いますなっしな。
◆震災被災地、今後も支援

-ところで、東日本大震災が誕生のきっかけだったそうですが、あらためてそのときのお話をうかがえますか。
東日本大震災が起きて、船橋もすごく暗くなってしまいましたし、経済的にも買い控えムードが広がっていた時期がありましたなっしな。商店街が閉まってしまったり。そんな中、船橋を活性化するサイトを作るという一つのテーマができたなっしな。その一環で、そういえば船橋に有名なキャラクターがいないなって思って、そこにふなっしーが抜てきされたなっし。「ふなっしー、お前いってこい」と。梨の妖精界でずっとネットばっかいじってないで、ちょっと船橋に降りて盛り上げてこいと。それで舞い降りてきたなっしー。
だから最初はツイッターの中だけのキャラクターでした。現実の世界に降りていくつもりもなかったので。でも徐々に「どこに行けば会えるの」と聞かれるようになって。じゃあ地上に降臨してみようかなって魔が差して。いわゆる、俗に言う…俗に言うですよ。
-はい。
俗に言う、着ぐるみの値段を調べたら50万~60万円かかると。これは無理だな、と思って何かないかなと調べたら、怪しい中国のサイトに某有名ネズミのキャラクターの偽物があって。ここに頼めば安くできるんじゃないかなと。ふなっしーは中国語ができたので、発注をかけたなっし。そしたら当時の値段で3万8千円で送料込みで作りますよと来たので、それぐらいだったらだまされてもいいからと思って発注したら、2カ月後ぐらいにふなっしーが船橋に舞い降りたなっしー。
-被災地支援に積極的に取り組んでいますが、きっかけや思いをうかがえますか。
やっぱり誕生のきっかけが震災だったのでずっと被災地のことは心配していたなっしな。それで、活動2年目ぐらいに実際に被災地に訪れてみようということになってバスツアーに参加したなっし。そこで今も頑張ってる人たちと触れ合って、何かできないかなと思って。そこに震災孤児の学費の寄付先があったので、ふなっしーグッズを被災地で作って、ロイヤルティー数%をそちらのほうに寄付させていただいてますなっし。
また、毎年カレンダーを作ってるんですけど、ふなっしーのロイヤルティー分はそちらに全部回していますなっし。あと、何かしら仙台でイベントをやるときも、グッズを作ったらその収益を全部寄付するとか、そういう活動を続けてますなっしな。
-やはり震災がきっかけだからというところで、思い入れがあるんでしょうか。
そうなしな。震災がなかったらふなっしーは絶対いないと思うので。
-今年も3・11の季節を迎えました。
もう11年目ですね。仙台などは行くたびにみんな活気づいて、平穏を取り戻している姿を見ると、ほっとしますなっしな。今でも闘っている方がいらっしゃるので、引き続き応援できればと思っています。
-あらためてなんですが、船橋市や千葉県をアピールし続けている理由は何でしょうか。
千葉って単純にいいところだと思うなっしー。街は栄えてるし、海もあるし、山もあるし、自然が豊富。農作物も全国区でおいしいものもいっぱいありますし。海産物も取れます。なので、せっかく船橋で生まれて千葉をPRする機会があるのであれば、やっぱり盛り上げたいという気持ちがありますなっしな。ロケ先では最近、道の駅とかに行って、いろんな物産品を紹介したりしてるなっしー。
-千葉をアピールする活動は今後も続けていくんですか。
できる限り続けていこうと思ってるなっしー。
-今後の具体的な活動内容については何か考えていますか。
こんなご時世なんでライブもできませんし、具体的なものはないなっしな。ただ10周年を迎えたので、せっかくなんで盛り上げていきたいなと思ってますなっしー。

◇ふなっしー 船橋市非公認のご当地キャラクター。2011年11月に2次元版が誕生し、ネット上の活動をスタート。12年3月に立体化されて地上に“降臨”。テレビCMや情報番組で注目されてブレークし、全国区の知名度を獲得した。
現在もイベント出演や公式サイト「274ch.」での動画配信など精力的に活動し、毎月27日(ふなの日)には「ふな ふな ブシャらじお」(午後8時~)を生配信している。
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