感動の音色、皆さんへ届ける 千葉県少年少女オーケストラ 音楽監督・佐治薫子さんインタビュー 【2021県民の日特集】

コロナ対策でステージ上の団員を減らす中、感動の音色を響かせた定期演奏会
コロナ対策でステージ上の団員を減らす中、感動の音色を響かせた定期演奏会
2009年にドイツ、ブルガリアで演奏したヨーロッパ公演
2009年にドイツ、ブルガリアで演奏したヨーロッパ公演
指導に携わる佐治音楽監督
指導に携わる佐治音楽監督

 1996年に都道府県レベルでは全国初の少年少女によるオーケストラとして結成された「千葉県少年少女オーケストラ」。県内に在住か通学する10~20歳の団員が奏でる美しい音色は、国内外の聴衆を魅了してきた。「よい音で、よい演奏を」をモットーに新型コロナ禍でも感染防止対策を講じながら活動を続けている。発足当初から指導に携わる佐治薫子音楽監督に、オーケストラについて聞いた。

 ―千葉県少年少女オーケストラの音楽監督になったきっかけは。
 
 佐治 長年、小・中学校で音楽の教師を務め、合奏のコンクールでよい演奏をしてきました。教員生活最後の1996年、当時の沼田武知事が県内の文化振興と青少年の育成を目的に少年少女オーケストラを立ち上げることになり、指導者として頼まれたのです。

 ―オーケストラ発足から初めての演奏会までの準備期間は短かったようですね。

 佐治 応募で集まった小学4年~高校2年の計416人が、オーディションを受け、160人が選ばれました。6月に結団式と初練習が行われ、7月に県内で開かれた全国知事会が初舞台になりました。短期間の練習でしたが、団員は素晴らしい演奏を披露しました。その後、習志野文化ホールであったウィンドミルオーケストラの定期演奏会にも出演させていただき、多くの方に聴いてもらえたことにより、応援してくれる方が多くなり、順調にスタートすることができました。

 ―団員の年齢は幅広く、住む場所もまちまち。結成時に不安はありませんでしたか。

 佐治 発足当初はどうなるかととても心配でしたが、団員は熱心に練習に励んでくれて、その心配も吹き飛びました。

◆練習「できてもやる」

 ―特別な指導方針はあるのでしょうか。

 佐治 昔からずっと「よい音で、よい演奏を」をモットーにしています。「練習とはできるまでやる」と言われていますが、2010年に世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチさんが、団員との交流演奏会の後、夜の8時から4時間も休むことなく練習する姿を見て「できてもやる」に考えを変えました。上手に演奏できるようになっていても、さらに練習することで、最高の演奏ができ、聴衆を感動させられるのではないでしょうか。

 上級生は、下級生の手本となれるようにひたむきな努力を積み重ねています。下級生は上級生の「よい音」を聴き「耳」を鍛えています。この結束力が伝統の音色を継承する秘訣(ひけつ)になっていると思います。

【国内外の演奏会で好評】

 ―演奏会のチケットは毎回完売。海外でも公演してきましたね。

 佐治 演奏を皆さまに高く評価していただき、定期演奏会のほか、県内各地の演奏会に参加させていただきました。指揮者の井上道義先生や皆さんのご尽力により海外での演奏も経験しました。アメリカ、ドイツ、ブルガリア、韓国などでも演奏を行いました。

 2006年からは作曲家の宮川彬良さんとコラボしたコンサートを県内で始め、クラシック以外のジャンルの曲を奏でて新しいお客さまも増えてきております。

◆感染防止対策とオーケストラ

 ―順調な活動がコロナ禍で一変しましたね。

 佐治 感染が拡大した2020年3月から活動を全て中止しました。同年7月から練習を再開し、舞台の反響板を外し、団員の間にビニールシートを張って3密防止対策を施しました。お互いの音がよく聴こえないため、なかなか思うような演奏はできませんでした。

 コンサートでは演奏者を減らして間隔を開け、アクリル板を設けました。練習時間を短縮した影響で、曲目も計画の半分に変更しました。これからも感染拡大状況を注意深くみて、他のオーケストラの対応を参考にしながら活動していきます。

【勉強と活動両立】

 ―昨年から厳しい活動環境になりましたが、団員の技術や意欲は変わりませんね。

 佐治 団員は20歳で卒団。抜けた人数を募集して、世代交代をしています。

 団員の学習環境も25年の間で塾や習い事、学校行事などで忙しくなりました。でも、音楽が好きな子は一生懸命。団の活動と両立しています。これは結成からずっと変わっていません。

◆音楽で元気に!

 ―団員に期待することは。

 佐治 音楽を通じて人間性を高め、豊かな心を育み、立派に成長してもらいたいです。

 音楽には人の心を和らげる不思議な力があると思っています。疲れているときに素晴らしい演奏を聴くと元気になりますし、人を勇気づける力もあると思っています。そして、健康にもなります。団員はコンサートで良い演奏を披露し、皆さんを少しでも元気づけることができるようになってもらいたいと思います。

 これからも感動の音色を多くの皆さんに届けられるように活動を続けていってほしいと願っています。

最高の演奏を届ける 団員、3密避け練習励む

 千葉県少年少女オーケストラは、結成以降、拠点とする千葉県文化会館で土、日曜日に技術を磨いてきた。コロナ禍に見舞われても、団員は感染防止対策を徹底しながら練習。活動再開に尽力してくれた関係者に感謝し、「先輩から伝統を受け継ぎ、お客さまに感動を届けたい」と演奏会に備えている。
 
 練習は現在、年齢別に午前と午後に分けるなど3密を避けている。

 数井茉愛さん(19)は、7歳の時に聴いた同団の演奏会に魅了されて入団した。コロナ禍での一時活動休止を「誰のせいでもない。悔しい気持ちでいっぱいだった」と振り返り、「もう悔しい思いはしたくない。みんなのためにも練習に励む」と意気込む。

 宮田恵実那さん(19)は、活動再開時を「音楽ができる幸せを改めて実感した」と感染防止対策を講じてくれた関係者に感謝。「団員として最後の1年。一番良い演奏をしたい」と努力を誓う。

 山崎みろくさん(20)は、コロナ禍後の久々の演奏会を「ホールに響く拍手に感動した」と聴衆の心を震わせる音楽の力を強調。「一つ一つの演奏会を大事に最高の演奏を届けたい」と気持ちを引き締めていた。

問い合わせ:公益財団法人 千葉県文化振興財団  千葉県少年少女オーケストラ事務局
TEL:043−222−0077
URL:https://www.cbs.or.jp/


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